温暖化対策としてのEV導入効果
電源構成が国ごとに異なるので、発電量当たりのCO2排出量も異なることになり、EV導入に伴うCO2排出量の削減効果も違ってくる。主要国の1kWh当たりのCO2排出量、排出係数は表-1の通りだ。
石炭火力比率が相対的に高い中国、インドの数値が高い。日本の排出係数も比較的高い理由は、原子力の比率が東日本大震災前の約30%から5%に低下しているためだ。フランスの低排出係数を作り出しているのは、電力の75%を供給している原子力だ。EV走行に伴うCO2排出量はインドとフランスでは大きく異なる。
代表的BEV、日産リーフの電費は、エアコン使用が多い夏冬には若干悪化するようだが、1kWh当たり6、7kmだ。一方、燃費の良いハイブリッド車(HV)では、1リットル(L)当たり20kmから25km走行する。仮にEVの電費を1kWh当たり6.5km、ICEとHVの燃費をそれぞれ1L当たり15km、25kmとすると、1km当たりのCO2排出量は図-3が示すようになる。
燃費の良いハイブリッド車との比較では、国によってはEV化の効果は得られない。ちなみに、日本での燃料費は、家庭用電気料金を基に考えるとEVのほうがHVより安くなるが、外での充電費用が高いことから、外での充電が多くなれば、EVの電気代のほうが高くなる。
今後の電源の非炭素化の進展、あるいは蓄電池性能の改善によりEVのCO2排出量の大幅削減が可能になり、温暖化対策が進展することになるだろう。欧州主要国は、今後世界の主流になるEV市場で主導権を取ることを狙いコロナ禍からの回復予算をEV導入支援にも割き、導入支援強化に動いた。