2024年4月27日(土)

World Energy Watch

2020年12月1日

EV販売台数が爆発的に増えている欧州

 日本をはじめ多くの国はEV購入時に補助金を出している。さらに、国により自動車関連税の減額、高速道路料金減額など多くの支援策が実行されている。EV価格はICEよりも高いため金銭面での補助を行い購入を促す制度だ。1300億ユーロ(約16兆円)のコロナ対策予算を計上したドイツは、EV購入補助金を増額し、地域によっては1万ユーロ(125万円)以上の補助金獲得も可能になった。さらに、将来全てのガソリンスタンドに充電設備を設置する方向も明らかにした。フランスでは、購入者の所得、車種によっては、ほぼ半額でEVを購入可能になった。

 英国ボリス・ジョンソン首相は、11月中旬温室効果ガス排出ゼロを達成する120億ポンド(約1.7兆円)を支出する10の施策を発表したが、その中には30年までにICE、35年までにHVの販売を禁止すること、さらに充電スタンド整備、蓄電池開発、EV購入支援額の増額も含まれている。

 欧州主要国が競ってEV導入に注力する理由は、温暖化対策に加え主要産業である自動車産業の国際競争力強化にあるが、その背景には欧州委員会が導入している自動車メーカに対するCO2排出規制があることも見逃せない。2021年から自動車メーカの販売する車種平均で1km当たりの排出量を95グラム以下にすることが要求され、未達成のメーカには罰金が課せられる。この対策として多くのメーカが導入を図っているのが電動化だ。BEVでは発電に伴うCO2排出量はゼロとしてEUでは計算される。PHEVでは電気で走る距離に応じた計算式により内燃機関からの排出量は少なく計算される。

 欧州主要国の購入支援策とメーカのBEV、PHEVの新モデル投入により、販売台数は急増している。欧州自動車工業会によると、今年9月までの乗用車の販売は30%近く落ち込んだが、EV、PHEV、HVは販売台数を大きく伸ばしている。爆売れと言ってよい状態だ(表-2)。

 ただし、欧州以外の市場は低迷している。中国では昨年6月にEVへの購入補助金を減額した影響が尾を引き、今年前半のEVの販売は昨年比大きく減少している。米国ではコロナ禍の影響を受けテスラが販売店を3月から5月にかけ閉鎖した影響もあり、今年前半の販売は前年同期比マイナス25%となっている。


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