部下にどう向き合うかが、大切
印象に残っている上司? たくさんいますが、1人は私がマネージャーになった頃の上司で、役職は部長でした。随分と権限委譲をしてくれました。当時、1つの上のポジションの仕事をさせてもらっていたように思います。何かがあった時に責任も取ってくれます。社内外から知識や情報を獲得し、スキルアップを熱心にしているようでした。常にクリティカルなフィードバックを、自分やメンバーにはわかりやすくしてくれます。私たち部下の成長には目を光らせてくれていました。仕事をするうえで絶対にブレない基準判断も持っているようでした。
フィードバックを受けた時の思いは多少、反発したくなる思いはありましたが、私よりもはるかに現場のことを知っていました。メンバーのことを把握していたし、ビジネスにおいての戦略戦術も長けていました。議論をしたところで、勝てなかったですね…。振り返ると、マネジメントスタイルが完全に確立していました。それを貫き通していたようにも見えました。
私は現在、役員をしていますが、担当部署のそれぞれの管理職には自らのマネジメントスタイルを貫いて欲しいと思っています。どういう考えでチームを作り、メンバーと向かい合い、育成をしていくのか。特に顧客を主語にしたうえで部下にどう向き合うかが、大切です。そのあたりをきちんと伝えてくれれば、新規事業の提案なども何らかの形でサポートをしたいと思います。
かつては企業社会を見渡すと、部下が上司に提案をしても、「握り潰す」ケースがあったのかもしれません。それにはいろんな理由があるのでしょうけれど、1つには上司が情報の格差をあえて作ることで部下を管理しようとする思惑があったのかな、と思います。
今は、情報を持っているか持っていないかで部下やチーム、部署をガバナンスする時代ではありません。メンバーの方が、上司よりもたくさんの情報を持っている可能性が高いのです。むしろ、部下が「これをしたい」と思って提案したものをマネジメントする側が受け入れた方が、そのメンバーも成長します。
私が「使える上司」? 弊社では聞かない言葉ですから、想像の域を出ていませんが、「使いやすい役員」と思われているのではないでしょうか…。実際に「使える」かどうかはわかりませんが。
日頃から、転職支援やマネジメントにおいて自分の考えをフィックスにしないようには気をつけています。例えば、先ほど、大手銀行の支店長の転職について話しました。あの時は、銀行で50点と評価されていたことに対して「この方はもっと高い評価を受けるべき」と思い、より活躍できる会社をご紹介したつもりです。銀行で50点と評価されていたことへのある意味でのアンチテーゼになれば、と思ったのです。
転職支援やマネジメントも、もっとより良きものができるのではないかな、とよく考えます。例えば、過去を振り返ると、マネジメントでうまくいかなかったことがあります。気をつけていたのは、その時だけでマネジメントに向いていないと思うことは避けてきました。こういう考えの方が、キャリアを作るうえでも上手くいくのでないかな、と思うのです。
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