シルバー民主主義に泣く若者

2012年9月13日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。12年4月より現職。*記事はすべて筆者の個人的見解であって、筆者の所属組織とは無関係です。

 そうして推計された世代会計をもとに、どの世代の純負担が大きいのか(小さいのか)、かつその差が合理的かいなか、要すれば、世代間不均衡(世代間の不公平性)がどの程度存在するのかを明らかにするものである。さらに、世代間不均衡が容認し難い大きさである場合には世代間均衡を回復するための施策として、どのような施策が望ましいのかについての検討があわせて行われることとなるが、その際の根拠資料を提供する。

政府の異時点間の予約制約式

 以下では、主に言葉と簡単な式を用いて、世代会計の紹介を行う。

 まず、われわれと政府との経済的な取引は非常に簡単な式を用いて表すことができる。すなわち、

 T=G+D・・・(1)

 という式がそれである。

 (1)式で、Gは現在価値に換算し直した一般政府支出の総額を表す。さらにこの政府支出Gは、その受益を特定の世代に割り振ることのできる「移転給付B」(つまり、年金、医療保険、介護保険、失業保険など年齢や状態に応じて政府から給付されるお金など)と、特定の世代に帰着させることができない「政府消費C」(つまり、役所で使うコピー用紙やパソコン、戦闘機などすべての国民に等しく便益を及ぼす性質を持った支出)とに分けることができる。

 また、Tは、所得税収や消費税収、社会保障収入等の一般政府収入、つまり家計から見ると負担全般の現在価値を表し、年齢などに応じて何らかの方法によって適切に各世代に帰着できるものとする。Dは、政府純債務を示す。

 (1)式は、いわゆる政府の異時点間の予算制約式を表している。

生涯負担から受益を引いた「世代勘定」

 次に、この時間を通じた政府の予算制約式を満足するために、支出額(G)と債務額(D)に対応する税収額(T)を、いつ誰が負担するのかという時間軸の視点から世代を2つに区分し、現在すでに存在している国民を「現在世代」、現時点ではまだ生まれておらずこれから生まれてくる国民を「将来世代」と呼ぶことにする。

 さらに、公的年金や医療給付等の移転給付や租税負担等のうち、現在世代の移転給付と租税等負担をそれぞれBP、TP、将来世代の移転給付をBF、租税等負担をTFとすると、先の(1)式は、

 TP+TF=BP+BF+C+D・・・(2)

 となる。 

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