2024年5月5日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月24日

 9月14日付ウェブDiplomat誌で、M. Taylor Fravel米MIT准教授は、中国が、国連海洋法に沿った形で尖閣周辺の領海を特定したので、今後、中国の行動はこの法的根拠に基づくことになり、冷静に対処しないと、中国船の活動はますます活発化して、事態がエスカレートする恐れがある、と警告しています。

 すなわち、中国は、日本政府の尖閣諸島国有化に反対するメディア・キャンペーンや要人の発言を一斉に行なっている。しかし、その中でも注目すべきは、国連海洋法に従って、尖閣付近の領海の起点、――それは必然的に、領海及び接続水域の範囲を決定することになる――を宣言したことである。

 これによって、中国は、尖閣付近の海域に進出する口実を得たことになり、中国は行動を益々活発化させ、この海域をめぐる日中両国の衝突の可能性は増大する。両国の冷静な対応が望まれる、と述べています。

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 上記論文は、中国が国際海洋法に従った措置をとったことを指摘しているにすぎず、広い日中間の外交、安全保障関係や日米関係も視野に入れて論じたものではありません。

 そこで、ここでは、別途、尖閣問題に関して考え得る二つの対策について触れたいと思います。

 一つ目は、尖閣諸島の領有権に関するICJ提訴(応訴)であります。現に実行支配している日本の領土である尖閣諸島の法的根拠をICJの判断に委ねて良いということは、竹島に対する韓国の姿勢に比べて、日本の余裕のある態度、国際法尊重の態度を示すことになります。もちろん、万が一敗訴の場合であっても、裁定に服する覚悟が必要であり、また、それが日本の公正な姿勢を示すことになります。


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