ギルダー氏:スザナ・マルチネス(ニューメキシコ州知事)は、いいモデルです。マルチネスははただのマイノリティ候補ではない。重要州の有能な知事です。共和党大会で証明されたのは、共和党が多様性の党だということです。マルチネス、サウスカロライナのニッキー・ヘイリー、コンディ・ライス、マルコ・ルビオ。彼らが優秀だから台頭したのです。このことが、共和党が「機会平等の党」であることを示しています。だからこそ最良の候補者が揃っている。若い世代も育っている。4年後に向けてベンチには人材が控えている。潜在的に大統領の逸材となる者たちです。(筆者注:ヘイリーはインド系アメリカ人、ライスは言うまでもなくアフリカ系)。
渡辺:レーガン大統領の元スピーチライターとして、ロムニーのコミュニケーション・スタイルをどう評価していますか? ロムニーのスタイルは好きですか?
ギルダー氏:結構好きです。よくロナルド・レーガンの再来を期待する人もいますが、それは間違いです。それはあり得ない。ロナルド・レーガンは唯一無二の存在です。偉大な人です。世界を救いました。アメリカを救いました。しかし、私たちはあの時代に戻りたくはないわけです。眼前には新しい時代がある。ロムニーは私たちがいる新しい時代にうまく適合していると思います。コミュニケーションのスタイルも実にいい。私たちは不安の時代に生きています。ロムニーのような人が必要です。うまくいったりそうでなかったりするビジネスの世界にロムニーは生きてきました。
渡辺:レーガンの元スピーチライターとして、オバマ大統領のコミュニケーションのスタイルと演説能力をどう評価していますか?
ギルダー氏:オバマ氏は頭がいいと思う。しかし、賢くはない。傲慢になりがちな高学歴のエリートタイプで、一般の人の感覚とズレがちだと思うが、それは彼のコミュニケーションからきていると考えられます。ライアンは(党大会で)上手にそれを批判しました。「オバマ大統領は国民が大統領の言うことをちゃんと聞いてくれないと思っている。私たちはホワイトハウスからもう十分に言葉を投げられている。私たちが欲しいのはリーダーシップなのだ」と。
それからライアンは大統領の「社会主義信仰」についても話していますが、それは実にいいまとめ方です。もし共和党の大統領だったら今どうなっているかと想像してみるといいのです。オバマ政権の経済のようにはなっていない。アメリカのメディアというのは、民主党全国委員会の手足でしかありません。オバマ大統領はその助けを得ています。コミュニケーターとしてはBマイナスです。
焦点が定まれば議論の弁舌は鋭いロムニー
ギルダー氏はレーガンを唯一無二の英雄として別格扱いしつつも、現代のオバマ政権に対抗する保守再興の時代にあってはロムニー的な人物が望ましいという見解を示した。このギルダー氏と筆者のインタビューはテレビ討論よりも前に行われたものだが、その後ロムニーはギルダー氏のエールに応えるかのごとく、第1回TV討論で見事な弁舌力を発揮した。