2024年11月22日(金)

医療を変える「現場の力」

2012年11月7日

 その、年に一度の大規模な発表会であり全国の仲間との交流の場が、「当事者研究全国交流集会」である。第1回から8回までずっとべてるまつりにあわせて浦河町で行われてきたが、「東北の人たちを応援したい」と、「来年の当事者研究全国交流集会は、福島で行います!」と宣言したのが昨年のべてるまつりでの出来事である。

郡山で行われた当事者研究全国交流集会。日本各地から集まった当事者が自分が抱える苦労の研究成果を発表した。

 翌年それは現実のものとなった。2012年10月19~20日、福島県郡山市の磐梯熱海温泉に、全国から388人が集まり、2日間にわたり「第9回当事者研究全国交流集会inふくしま」が開催されたのだ。事務局は、福島県立医科大学医学部神経精神医学講座心理室と、本格的な学会のようなおもむきながら、和気あいあいと、笑いあり、感動の出会いありの会だった。演題はポスター発表のみの7演題を含む30演題。北海道、福島県はもちろん、関東や遠くは三重県からの発表者もあり、発表を聞き意見交換をするなど横のつながりができた2日間となった。

 2日目の朝一番のプログラムは、今回の実行委員長を務めた福島県立医科大学会津医療センター準備室(精神医学)の丹羽真一教授による講演「東日本大震災からの復興と福島」。ぎっしり会場を埋め尽くした聴衆が、福島、東北の復興について考えた。閉会の挨拶での「今、福島は一年の中でもとってもいい時期です。どうぞ楽しんでいってください」との言葉に、温泉地以外へ足を伸ばして観光を楽しんだ参加者も多かっただろう。

病気や障害が町の活性化に

 べてるの家の話を聞いていると、どちらかというとあまり歓迎される存在ではなかった、精神障害や精神疾患などの苦労を抱えた人たちが、立派な町おこしの原動力になっているのが感じられる。

今年のべてるまつりには、本格的な生演奏でBGMや伴奏を担当した「ぱぴぷぺぽ楽団」。

 2012年のべてるまつりは、前夜祭を含め8月24日~26日の3日間にわたり開催された。総会の時代から数えると20回目の節目とあって、スペシャルゲストに迎えた俳優の武田鉄矢さんによるトークショーあり、歴代の幻覚&妄想グランプリの振り返りあり、生演奏での歌やショートフィルムなど、例年にも増して盛りだくさん。ユニークな幻聴や幻覚の話に、「え、ここ笑っていいの?」と思う前に、お腹を抱えて笑ってしまう面白さである。

 26日には、「浦河町乗馬公園」で行われた、馬に感謝するイベント「サンクス ホースデイズin浦河」で、べてるのメンバーのトークショーが開催され、乗介在療法などについて語り合った。前夜祭から続くべてるまつりの第三部として足を運んだ参加者も多く、道内だけでなく、全国からの集客をと願う町と、町の人たちの役に立ちたいと日ごろから願っているべてるの家とのコラボレーションとなった。


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