2024年11月25日(月)

渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年11月11日

 「ロムニーはオハイオ、バージニア、フロリダのみならず、ペンシルヴァニア、ミネソタ、ミシガンでも追い上げてきている。しかし、ハリケーン・サンディの到来で大統領側に追い上げを制止された。ただ、"暴風雨のサムライ(ストーム・サムライ)"としてのオバマというイメージは1日で終了。バージニアでのロムニーの投票率アップ運動は強靭で、フロリダに人口の多い高齢者の投票率も、かつてないほど高いものになる見通し。ロムニー陣営はオハイオでも支持者を活性化している」

 「選挙人321人でロムニー勝利」とまで予測していた。しかし、これは複数の内部関係者の中でも最も楽観的な見方だった。

 一方、共和党系戦略家のディク・モリスの見立ては「オバマが47〜48%の得票なら、残りの浮動票がロムニーを勝たせる」だった。しかし、民主党のインサイダーは、「浮動票決定論のモデルは旧い常識(old conventional wisdom)で、オバマは2008年選挙で常識のパラダイム転換を行ってしまったので、もはや正しくない」と口を揃えていた。

 ブッシュ政権の立役者、共和党のカール・ローブは「民主党は有権者登録した民主党支持者を過剰に世論調査の対象にしている(over-sampling)」として、民主党側の世論調査を批判していた。ローブが言うには、2008年の選挙民は異例に民主党寄りになった例外的選挙であって、2012年の投票行動の予測に2008年のモデルは一切使用できないというものだった。これに対して両党は「2008年の例外性」に同意しつつも、その先の解釈が割れていた。

 民主党の専門家は「その通り。しかし、民主党の動員組織と戦略は今や地上最強であり、2008年と同じ結果を出すことができる。少なくともオハイオでは」と反論。

 共和党の専門家は「その通り。しかし、期日前投票の多さ、特にオハイオの期日前投票が民主党の善戦を意味しない。期日前投票の何割かは共和党票だ」と反論。

 また、中西部の共和党州幹部は「ロムニーが僅差でアイオワ勝利」と予測していた。別の幹部は「フロリダでオバマは苦戦する。オバマのイスラエル政策とりわけネタニヤフとの関係の悪さがフロリダでは問題となり、ロムニー勝利」と予測していた。

 「ノースカロライナでは、オバマの同性婚容認発言が尾を引きロムニー勝利」との見立ても入ってきていた。「バージニアは、北部のリベラルな政府職員地域と南部の保守地盤の地理的な戦いになるが、ロムニー勝利。コロラドはロムニー、ペンシルヴァニアはオバマ、ウィスコンシンはロムニー勝利」などと予測する共和党専門家もいた。


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