2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月4日

 米国が十分な国防費を維持することは、同盟国の我が国にとって、もちろん、結構なことです。共和党が国防費の維持を真剣に考えているのであれば、財政の崖を回避するための妥協が必要となるでしょう。

 一方、オバマ大統領の軍事に関する認識の危うさも露呈しています。討論会では、ロムニー候補が、米海軍は「1917年以来で最も小規模になっている」と述べたのに対し、オバマ大統領は「軍馬や銃剣の数も減っている。軍が変化したからだ。」と述べ、「我々は今や飛行機を搭載できる航空母艦と言うものを持っており、また、海面下で行動できる原子力潜水艦と言うものも持っている。もはや艦船の数を数えるゲームではなくなっているのだ。」と、揶揄するように言っています。選挙戦におけるやりとりであることを割り引いて考えても、いささか不見識な発言とのそしりは免れないのではないかと思われます。

 オバマ大統領は、アジア回帰政策を打ち出しており、その方向性は、大いに歓迎すべきものです。しかし、一方で、アジア回帰というのは中身が伴っていないのではないかという懸念があります。それは、軍事力による下支えがなければ意味がないということです。オバマ大統領が、この論説で取り上げられているように、米軍のプレゼンスについて十分な認識を持っていないとすれば、そういう懸念が払拭されず、常について回ることになる可能性があります。

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