WEDGE REPORT

2021年8月18日

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韓国選手村の垂れ幕(REUTERS/AFLO)

 東京オリンピック開催直前の7月下旬、私は韓国のある財閥系商社員とランチを共にしていた。挨拶も早々、親しい関係の私たちの話題は、韓国選手団が選手村宿舎に掲げた垂れ幕「臣にはまだ5000万国民の応援と支援が残っております」に移った。私が、他国選手団も選手村宿舎に国旗や国名を記した横断幕を掲げていたが、政治的内容とも受け止められるメッセージを掲げたのは韓国だけだということを指摘すると、韓国商社員は意外なことに素直に頭を下げた。

 「あれは本当に申し訳ないと思う。韓国の国際感覚のなさが恥ずかしい。東京で李舜臣将軍のあの言葉を掲げるというのは、ロンドンでジャンヌダルクの『私たちが戦うからこそ、神は勝利を与えてくださる』を掲げるようなもので、明らかに喧嘩を売っているでしょう。韓国人の多くはあの垂れ幕を見て、ヤバいと思ったはずです」(韓国商社員)

 当時、韓国・青瓦台(大統領官邸)は文在寅大統領訪日の条件として、「慰安婦・徴用工問題」と「戦略物資の輸出規制強化問題」「福島第一原発処理水の排出問題」の〝3大懸念〟のいずれか一つを日韓首脳会談で協議することを日本側に提示していた。来年5月の任期満了まで1年を切りレームダック化した文在寅大統領は、東京オリンピック開会式に参加し、菅義偉首相と首脳会談を行うことで求心力を取り戻そうとしていた。

 韓国商社員によれば、駐日韓国大使館員も「なんであんな垂れ幕を掲げたのか理解に苦しむ。これじゃ文在寅大統領が訪日できないじゃないか!」と苛立ちを隠してないという。

 結局、この垂れ幕は国際オリンピック委員会(IOC)からオリンピック憲章違反との指摘を受けた韓国側が撤去した。また、横断幕設置への日本側の強い反発を受けてか、青瓦台は文在寅大統領の訪日を断念すると発表した。

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