WEDGE REPORT

2021年8月16日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

(AlexLMX/gettyimages)

 新型コロナウイルスのため1年延期されていた東京オリンピックが終わった。依然として続くコロナの脅威と日本の猛暑の中でも、大きなトラブルなく全種目が行われたことにホッとしている人も少なくないだろう。

 コロナ感染の推移、無観客による収益減少、経済への影響などの功罪については時間をかけて慎重に評価すべきであるが、世界の多くのスポーツファンを熱狂させ、選手たちに実力を披露できる大きな舞台を提供した点は評価に値する。

 ところで、今回の五輪に関連して韓国が国際的批判を受けた一件がある。韓国の地上波テレビ局MBCによる、開会式の中継放送プログラムである。各国が入場する様子を映し出しながら、それぞれの国について短い紹介を加えていたのだが、ウクライナの紹介写真に廃墟となったチェルノブイリ原発の写真を入れ、ハイチについては「大統領が暗殺された国」、マーシャル諸島については「かつては米国の核実験場」というコメントで紹介するなど、あまりにも不適切な内容が含まれていたのだ。

 この事件は外信を通じて各国に伝えられ、国際的にも非難を浴びると放送局は直ちに頭を下げて謝罪した。韓国内でも放送局のホームページやSNS上で「酷過ぎる」という批判が相次いだ。何が酷かったか。それは他人の気持ちや立場への配慮を欠いた、あまりにも幼稚な報道姿勢だ。一瞬でも相手の身になって考えることがあったなら、あのような不適切な説明はしなかっただろう。

 だが、国際的批判の対象となるかどうかは別として、今回の東京五輪を伝える韓国のテレビ局の中継は、あまりにも短絡的なプログラム構成、他国に配慮に欠ける解説が目立ち過ぎた。

 スポーツの国際試合を中継する際、自国選手中心の中継が行われるのは「当たり前」だ。例えば自国の選手が出場する種目に中継が集中したり、自国の選手をひいきするような解説があるかもしれない。程度の差はあっても、多くの国で見られる傾向だ。しかし、今回の韓国のテレビ局は一線を超えていた。

韓国選手が負けた途端、他試合に切り替える中継

 日本の大野将平選手が金メダルを獲得した男子柔道73キロ級で、在日韓国人3世で韓国代表として出場した安昌林選手が銅メダルを獲得した。それを伝える中継もまた大きなブーイングを受けている。

 試合を中継していた韓国のアナウンサーが試合の結果について「私たちが望んでいたメダルの色ではないが…」と発言したのだ。もちろん念願の金メダルを逃したのは選手本人だけでなく、応援していたファンにも残念なことだ。しかし、最善を尽くした選手に対して失礼すぎるという視聴者の批判を買ったのだ。

 だが、失礼はアナウンサーの言葉だけにとどまらなかった。表彰式で安選手が銅メダルを首にかけた場面が放送されるやいなや中継を切り替えて、他の種目の試合にカメラを回したのだ。他国の銀メダルと金メダル受賞は映し出す価値もないかのように。

 日本に対してはこのような傾向がより強く、金メダルを首にかける場面までは中継をしたとしても国歌の「君が代」が流れる場面は絶対に放送しない。正確に言えば、視聴者のクレームを恐れて放送していない。実際、韓国のあるバラエティ番組で日本を説明する際にBGMで「君が代」の一部を少し流しただけで謝罪放送を余儀なくされたこともある。

 このような姿は五輪が終わるまで繰り返された。フェンシング男子エペ団体の準決勝で日本と韓国が激突した際、試合を中継していた韓国の放送局は、第9試合まで行われる試合において韓国が相次いで第4試合まで敗れ、序盤から大量リードを奪われると、唐突に中継を卓球の試合に切り替えた。韓国の放送局が見せたかったのは、韓国代表の「試合」ではなく、韓国代表の「勝利」だけだったのだ。

 滑稽だったのは、中盤以降に韓国チームが猛烈な勢いで日本チームの点数に追いつくと、今度は卓球中継を切り上げ、再び中継をフェンシングに戻したことだ。しかし、フェンシング中継が最後まで続くことはなかった。再び日本チームがリードを広げ、韓国の負けが濃厚になるとまた中継を止めて、違う種目に切り替えたからだ。

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