Washington Files

2021年6月21日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 英国南西部コーンウォールでのG7サミットを機会に、丸4年ぶりの開催が噂された日韓首脳会談は今回も実現には至らなかった。「近くて遠い」両国は、なぜ「歴史問題」を克服できないのか―。激しい戦争を繰り返した末、現代史上、最強の同盟関係に至った米英関係に学ぶべき点は少なくない。

(YONHAP NEWS/AFLO)

 G7サミットに先立ち、今回はメンバー国の日本とは別に、議長国のジョンソン英国首相の肝いりで文在寅韓国大統領が特別招待されたことから、一時は菅首相との会談の観測も広がった。だが、バイデン米大統領も側面から両国首脳会談を後押ししてきたものの、結果的に、2人はサミット会場で短いあいさつを交わすだけで終わった。「一衣帯水」の地理的関係にありながら、なんとも果てしなく遠い日韓両国の“距離”を改めて実感させられる。

 米国から見て、日韓関係ほど理解しがたい二国間関係はない。長年、新聞社のワシントン特派員を務めた筆者も、国務省、国防総省の高官たちに会うたびに「何とかならないのか」と幾度となく詰問されたものだった。すなわち、両国は、広大な太平洋を隔てた米国とはそれぞれ、緊密な「同盟関係」を堅持する一方、対馬の丘から釜山港も眺望できる隣国同士でありながら、同盟関係どころか、友好関係にも疑問符がつきまとう現実へのいらだちからだった。

 そこに立ちはだかるのが、「従軍慰安婦」「徴用工」などの歴史問題であることはいうまでもない。しかし、こうした問題は、今から半世紀以上も前の1965年6月、両国政府による関係正常化のための「日韓基本条約」締結により、とっくに解決されたはずだった。それにもかかわらず、今日に至るまで、ぎくしゃくした関係が続いてきたのは、韓国歴代政権が歴史問題を政治利用し、その結果として日本側の対応も硬化したことと無縁ではない。

 この点で、対比されるのが、米英同盟関係だ。

 米英両国が、過去の相克を克服できた理由として、同一言語、民主主義的価値観、人種的近似性などが挙げられる一方、日韓が和解できないのは、言語も異なる異民族同士であり、第二次大戦中、朝鮮が旧日本軍の占領下に置かれた苦い歴史があるからだ―と説明されてきた。

 しかし、同じ朝鮮民族同士でありながら、げんに韓国と北朝鮮は憎しみ会っている。たんに同一言語、同一民族であることが、和解の保証にはなっていない。

 そこで改めて、米英両国が一度ならず戦火を交え、100年近くも敵対的関係にあった過去を振り返ってみることにする。

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