2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月13日

米はタリバンと協働できるのか

 国際社会は、今後大きなジレンマに直面する。まず政府承認が問題となる。タリバンのかつての統治(イスラムに基づく恐怖政治)、今回実権掌握の過程、人権や女性の権利の尊重など今後の統治理念等問題は多いと言わざるを得ず、直ちに承認することはできないだろう。

 第二の問題は、仮に人道的惨禍が起きれば国際社会は介入せざるを得なくなる。しかし、それには未曽有の規模の介入が必要となろうが、国際社会にその意思や能力はない。それでも国連の役割は一層重要になる。

 第三に、残された退避希望者の退避の問題もある(8月30日安保理は退避希望者の今後の退避を保証するとのタリバンの確約を確認する決議を採択した。中ロは棄権)。それにはタリバンとの一定の協力関係が必要となる。

 なお、米が最後の局面でタリバンと水面下で疎通しカブール空港周辺の治安維持など必要最小限の共同作業に努めてきたことは、現実問題として止むを得ず、批判はできない。ワシントン・ポスト紙のイグネイシャスは8月25日付で、‘Can the Taliban become a reliable partner to the U.S.? Only time will tell.’(米はタリバンと協働できるか、それが中心的問題だ)と題する記事を書いている。その中で、

① 目下のアフガニスタンでの泥沼のパラドックスは20年にわたり戦った敵であるタリバンに米が退避に係る安全確保支援を求めていることである
② 最も微妙な直近の問題はタリバンが順守を要求する8月末の米軍撤退期限日である
③ かつてミラー司令官は自分にISに対する米とタリバンの事実上の連合論を述べたことがある
④ しかしタリバンと米との将来の関係は余り期待できない

等と述べている。

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