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World Energy Watch

2012年12月26日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 発電設備はいつも利用されるコストが低いベースとなる設備、夏あるいは冬のピーク時に利用されるコストが高いピーク対応の設備に分かれる。ピーク対応の設備は利用率が低く利益を生まないが、なければ停電を招くことになり、誰かが供給責任を負い設備を保有しておかなければならない。供給責任とピーク対応の設備を既存の地域電力会社の責任にするという主張だ。

電話と電気は違う

図1 電力事業と情報通信事業の売上高推移
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 通信と電気では大きな違いがある。まず市場が成長しているかどうかだ。市場が成長していれば、既存の企業も成長分を新規参入者に分けることができる。しかし、市場が成長していなければ、非対称規制では既存の企業が大きな不利を被る。通信市場と電力市場の成長は図-1が示す通りだ。

 通信と異なり、電力では誰かが、利用率の低い設備を保有する必要がある。この設備を既存企業に保有させ、利益率を下げさせることが可能だろうか。NTTは今でも国が3分の1の株式を保有する企業だ。民間企業の電力会社が一方的に不利を被った場合に株主は黙っているのだろうか。しかも、全電力料金の負担は変わらないから、消費者の負担額が減少するわけではない。分配だけの問題だ。

 発送電を分離し自由化すれば供給が増え、発電設備が新設されると考えるのは電力という商品の特性を無視した、あまりに単純な発想だろう。クリーンな電気を好む需要家のために選択肢を増やすことは重要だが、自由化により電力供給と電気料金の問題が解決すると過度に期待するのは禁物だ。


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