ザ・ジャパニーズ3.0(昭和、平成、令和) ~今の日本人に必要なアップデート~

2021年11月10日

»著者プロフィール
閉じる

桂木麻也 (かつらぎ・まや)

インベストメントバンカー

インベストメント・バンカー。カリフォルニア大学卒業・内外の投資銀行に20年超の勤務経験を有する。クロスボーダーのM&Aに造詣が深い。著書に『ASEAN企業地図』(翔泳社)『「選択肢」を持って「人生を経営」する』(ウェッジ)。

(designer491/gettyimages)

 私はM&Aのアドバイザリーを生業としており、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に数多くのクロスボーダーM&Aを経験してきた。こうしたさまざまな経験談を、「Big Deal」(月刊Wedge2014年1月号~16年6月号)というタイトルで連載してきたこともあるので、私の名前を憶えている方がいらっしゃるかもしれない。

 約4年ぶりに連載を開始するにあたり、今回のタイトルは「ザ・ジャパニーズ3.0」である。編集部の皆さんと相談して決めたものだが、なんだかインダストリー4.0(第4次産業革命)を彷彿とさせ、個人的にはとても気に入っている。私自身、昭和の高度成長期に生まれ、バブル絶頂期に就職をし、ビジネスマンとして平成から令和という時代を歩いてきた。平成という時代には、バブル崩壊やリーマンショックなどを経験し、同時多発テロやイラク戦争などが発生するなど、その名前とは真逆の騒然たる時代であった。また私事になるが、私には3人の子供がおり、末っ子はまだ小学生。始まったばかりの令和の時代で、残り少なくなったビジネスマンとしての時間と最後の子育ての時間を過ごしている。そんな私が、クロスボーダーM&Aという業務や海外赴任生活を通じて得た知見で、今の日本や日本人のユニークさを炙り出すというのが今回の連載で読者の皆さんにお伝えしたいことである。

豊かになることの実感から遠ざかってしまった日本

 ユニークという場合、美徳的なことかもしれないし、世界標準で見たときにイタイことかもしれない。歴代の首相が掲げる「成長」という言葉が空々しく聞こえるほど、豊かになることの実感から遠ざかってしまった日本だが、その固有の「ユニークさ」から、成長を阻害している要因を分析してみたい。トピックは、企業行動のみならず、子育て、教育、人生観まで広げ、どうしたら明るく活力のある生き方ができるか、そしてその結果としてどうしたら活力ある日本を作ることができるかを考えてみたい。その過程で、さまざまな問いが発せられるだろう。例えばこんな具合だ。

  • なぜ日本では所得が増えないのか?
  • なぜM&Aでの失敗がなくならないのか?
  • なぜ中小・零細企業の後継者が見つからないのか?
  • なぜガラケーの機能向上はできても、iPhoneを作り出すことはできなかったのか?
  • 英語学習に膨大な時間とコストを費やしても、なぜマスターできないのか?
  • なぜ日本の若者は自己肯定感が低いのか?
  • ワンオペ育児はなぜ発生するのか?

 一見バラバラなこれらの問いも、リスクとリターン、リターンを得るための正しい努力、努力のための資源(時間)配分、というフィルターを掛けると実は共通項が見えてきて、日本人に固有の事象が見えてくるのである。そのようなことを解き明かしながら連載を進めて行きた。記念すべき第1回は「お金に対する教育」の話である。

 それでは最初の質問である。あなたが子供の頃、親は自分の給与水準を教えてくれたであろうか? 月々の生活費やローンの支払金額を教えてくれたであろうか? もしあなたに子供がいる場合、上記を子供に教えているだろうか? ほとんどの人はNoというであろう。子供に正面切ってお金のことを教えないのはなぜだろうか?家計の一構成員として、子供がお金のことを学ぶ適正年齢はいつなのであろうか?

関連記事

新着記事

»もっと見る