2024年2月29日(木)

ザ・ジャパニーズ3.0(昭和、平成、令和) ~今の日本人に必要なアップデート~

2021年11月10日

厳然と存在する業種間の所得格差 

 さてここで一つのグラフを示そう。マイナビ社による、2021年版の業種別モデル年収のランキングだ。

 一見してお分かりのように、業種間には厳然たる所得格差が存在する。このグラフが示すのは、各業種におけるビジネスモデルの稼ぐ力の差だと言って良い。職を求める場合には、自分の興味や適性に応じて選択することは大前提である。しかしこれだけ大きな差があるのであれば、所得水準は重要な選択肢になっても良いはずである。にもかかわらず若者たちは就職の際に、やりがい・適性を錦の御旗として掲げ、所得水準や経済的成功への興味は劣後しているように見える。これは健全なことなのだろうか?

 ここで、親が子供に家計のリアリティを教えない問題に戻ろう。短的に言えば、子供はお金のことは心配するな、ということであろう。家計におけるお金の問題は極めてパーソナルでありセンシティブなものだ。だからこそそれは親が教えなければいけないと私は思う。親の他には誰も教えてくれないのだから。

「失われた20年」

 平成という時代を振り返った時、バブル絶頂期に時代の幕を開けたものの、直ぐにバブルは崩壊し「失われた20年」とも称される長い停滞の時代に入った。令和になった現在はコロナ禍に見舞われ、試練は続く。苛烈な経済環境の中で、企業のビジネスモデルも変更を余儀なくされ、その結果として先に示した業種間の格差が生まれてきている。その中でビジネスマンとして成功を収めている人がいるだろうし、一方で不遇に見舞われた人もいるであろう。成功の秘訣とその証として家族にしてあげられたことも、不遇に見舞われた際に家族を守ってきた工夫も、それは当事者しか語れない。そして親が教えるこのようなお金の教育は、次世代のリテラシー向上に決定的に必要なのだと思う。

 高校生になるとそろそろ将来の職業について意識をし出す頃であろう。実際、高校を卒業して就職する人もいるし、大学に進学する人でも2年生にはもう就職活動に向けて準備を始める。その意味で、子供にお金の教育をするのにいいタイミングなのだと思う。

「令和版所得倍増計画」

 2021年10月4日、岸田文雄氏が第100代内閣総理大臣に就任した。岸田首相は「新自由主義からの転換」を進めて、「新しい資本主義」を目指すとしている。その中でも、「令和版所得倍増計画」に取り組むとの考え方は注目される。岸田政権の経済政策の重要なポイントは「分配の重視」といえるだろう。その背景には、小泉純一郎政権以降の新自由主義の発想に基づく経済運営が、わが国の経済的な格差を拡大させたとの認識があるようだ。しかし、先ほどのグラフが示すような業種間の所得格差を解消しない限り、経済的な富の分配だけで国民の所得を倍増することは難しい。むしろ、割りを食う方からの反発を招くだけである。

 次回は、各業種ビジネスモデルに対する日本人のリテラシーがやはり低いことを指摘しながら、各業種の稼ぐ力について考えてみたい。To Be Continuedである。

   
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