2024年2月22日(木)

#財政危機と闘います

2021年11月11日

 しかし、給付を受け取る側の国民の間では、公明党の「未来応援給付」は受けが悪かったのも事実である。矢野康治財務次官の『文藝春秋』への寄稿にもあったように、「国民はバラマキを欲するほど愚かではない」こともあるが、その他の理由としては、今回の18歳以下への給付策の①政策目的(景気対策なのか、コロナ対策なのか、社会福祉なのか)、②政策理念(子どもへの給付なのか、子どもを育てる保護者への給付なのか)、③財源負担者(わたしたちなのか、子どもたちなのか)が明確に示されていなかった点にある。

無法状態が続く日本財政

 ところで、2021(令和3)年度当初予算では、43.6兆円の国債が新規に発行される予定となっており、うち37.3兆円が赤字国債である。

 日本財政の憲法と位置付けられる財政法では、そもそも建設国債のみ例外的に発行が認められており、実は赤字国債の発行は想定されていない。つまり、財政法上存在してはならない赤字国債が実務的に必要不可欠という理由だけで、1975年からバブル期の4年間を除いて現在に至るまで素知らぬ顔で赤字国債の発行が続く無法状態が続いている。

 さらに、赤字国債はその償還ルールも不合理である。

 建設国債は、社会資本の整備に使われ、社会資本の耐用年数が大体60年であるので、もし建設国債の償還に難儀する場合には、いざとなれば社会資本を売却すれば良いとの理屈がたつため、建設国債は60年で償還すればよいとの60年償還ルールが適用されている。

 しかし、赤字国債には建設国債が持つ見合いの資産は存在しないにも関わらず、何故か建設国債と同じ60年償還ルールが準用されている。

 つまり、赤字国債で財源を賄うならば、60年償還ルールが適用されるため、今年実施された赤字国債財源の施策は、今後60年かけて返済していけばいいので、それは結局、政策を決定した私たちではなく、残りの人生が長い子どもたちが返済していくことに他ならない。

 さらに厄介なことに、消費税増税で財源を賄うにしても実態は同じである。なぜなら、消費税の場合、私たちも確かに負担するのだが、残りの人生の長い子どもたちの負担がやはり多くなるからだ。

 このように、赤字国債は元より消費税増税でも子どもたちの負担による財源調達でしかなく、未来小切手帳のように、いまお金を手に入れられたとしても、将来受け取れるはずのお金が消えてしまうのだから、給付を受ける子どもたちにとっては、詐欺同然の行為に等しい。

 しかも、政策を決定する立場にある政治家は子どもたちのためを思って良いことをしたと錯覚しているので、いっそうタチが悪い。まさに、ヨーロッパの諺にあるように「地獄への道は善意で舗装されている」のだ。

新型コロナと何の関係があるのか?

 そもそも、未来ある子どもたちを応援するのにコロナは関係ない。コロナがあろうとなかろうと未来あるそして社会の次代の担い手である子どもたちを応援するのは、私たち上の世代の当然の責務である。

 もし本当に未来ある子どもたちをたまたま今回の給付に間に合ったか否かに関わらず差別なく応援しようと思うなら、2018年現在、児童・家族関係給付の9倍弱ある高齢者関係給付を削減することで安定財源を確保し、一時的な給付ではなく児童手当を拡充するなどして子ども向けの給付を増やす必要がある。


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