2024年11月24日(日)

#財政危機と闘います

2021年11月11日

児童手当を拡充せよ

 現在の児童手当は中学校卒業までの子どもを養育している保護者に対し、子ども一人当たり月5000円から1万5000円支給される。この児童手当の支給対象年齢を18歳に延長し、所得制限を撤廃することで、18歳までの子ども全員に月1万円(年12万円)の児童手当を配り続けるとすれば、現時点では毎年2.4兆円の予算が必要になる。

 例えば、すでにある児童手当の総費用1.2兆円を控除すれば、18歳以下の子どもたちに年額12万円配るには、新たに必要となる財源は1.2兆円に過ぎない。実は、この1.2兆円は、高齢者関係給付をたった1.4%削減するだけで、子どもたちにツケを回さず、一時的ではなく恒久的に、しかも生まれた年や親の所得で子どもたちを分断することもなく、未来ある子どもたちを応援することができるのだ。

 その気になればいつでも合意できる程度の金額に過ぎないのだから、さすがにたった1.4%の高齢者向けの社会保障給付を削減できない政治家や、自分たちへの給付削減に首を縦に振らない高齢者はいないだろう。

 このように、選挙目当てではなく、本当に未来ある子どもたちを重視しているのであれば、所得制限付きの一時的な給付で子どもたちの〝分断〟を招くのではなく、若者に薄く高齢者に厚い社会保障給付の構造改革こそ実行すべきだと筆者は考えるが、読者の皆さんはいかにお考えだろうか。

シルバーデモクラシーと対峙する政党は出てくるのか

 それにしても、所得制限は子どもの分断を招くと批判していたにもかかわらず所得制限を受け入れたということは、選挙のためであれば子どもの分断を招いても仕方ないということだろうか。

 筆者の今回の提案の場合、子どもであれば誰も排除しないので子どもの分断を招かず、高齢世代から若者世代のおカネを取り戻すことで世代間格差の是正にもつながるので、真に若者ファーストの政策と言える。来年の参議院選挙で、拡大版児童手当の創設を掲げシルバーデモクラシーに真っ向挑戦する政党は出てくるだろうか。

 最期に蛇足ながら、18歳以下に限定して10万円支給する「未来応援給付」にはバラマキ批判がわき上がったにもかかわらず、年齢制限も所得制限もなくマイナンバーカードを保有する国民に広く支給するマイナポイント付与にはそうした批判が出なかったのは、シルバーデモクラシーの弊害が指摘されるわが国の政治のあり方において有権者側の姿勢も明らかにした点で大変意義深い。

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