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中国経済は、工業生産が伸びを徐々に高めており、電力生産も拡大するなど景気に底入れ感がでている。政府投資が効果を挙げつつある上に在庫調整はほぼ終了しており(図表4)、賃金上昇率も高まっている。2013年には大幅な外需増は見込めないものの、堅調な内需に支えられて、8%程度の成長を達成するとみられる。
新政権が発足する日本でも、震災復興が続く上に財政金融を軸とした景気対策とデフレ脱却策が見込まれている。さらに、13年度後半には消費税率引き上げ前の駆け込み需要でGDPは0.5%ほど押し上げられるものと思われ、13年度は2%程度の成長を達成することとなろう。
先進国では成長戦略が問われている
2013年の世界経済で注目されるのは、財政健全化が堅持されつつも経済成長への配慮が高まることだ。ギリシャやスペインのように、大きなマイナス成長と25%を超えるアメリカの大恐慌時並みの高い失業率の下では、さらに増税や歳出大幅削減を伴う財政健全化は、不可欠としても容易ではない。
IMFは、過去100年の深刻な財政赤字に陥った主要国を分析し、高成長、金融緩和、外需増や通貨安などが財政健全化に効果的だったと指摘している。主要先進国は、財政健全化を進めながらも金融緩和を推進するなど経済成長にも一段と配慮することとなろう。
もっとも、成長率を高めることは簡単ではない。とりわけ、欧州では有効な成長戦略も打ち出されていない。いままでのEUでは、加盟国拡大が大きな成長戦略であったといえる。
しかし、加盟国数の拡大は一巡しており、どのように経済成長のフロンティアを求めていくかは大きな課題だ。ちなみに、クロアチアの加盟が2013年7月に予定されているが、そのEUに占めるGDP割合は0.4%弱(2010年)に過ぎず、加盟によるEUの経済成長への寄与ははほとんど期待できない。13年EUでは、どのような成長戦略で経済成長の回復を図っていくかが大きな焦点といえる。
成長戦略が問われているのは欧州諸国だけではない。世界で最低クラスの低成長を続けている日本にこそ成長戦略が問われつづけている。日本の場合には、いままでも内容や方向が全うな成長戦略がいくつも策定されており、課題は成長戦略の策定ではなく、その果断な実行と一刻も早く具体的成果を挙げることにある。