企業活力増進が模索される年
この成長戦略だが、日欧とも眼目が企業活力の増進にある。ここ数年主要先進国では財政金融政策での経済下支えが続いているが、持続性ある経済成長の中心になるものではなく、なにより限界に近づいている。不均衡の拡大によらず持続性ある経済成長を図るには、企業を中心に民間活力を高める以外にはない。
2000年から2009年のOECD先進国の経済成長と労働生産性上昇率との関係をみても、民間活力の重要性ははっきりしている(図表5)。ギリシャ、スペイン、イタリアなど債務危機を招いた国々はすべてトレンド線の下、すなわち経済成長が相対的に経済不均衡拡大など企業活力以外の要因に依存していることがわかる。他方で、アメリカ、ドイツ、日本はトレンド線の上、すなわち経済成長が相対的に経済不均衡よりは企業活力に依存する位置づけにある。
もちろん、日本がトレンド線の上にあるといっても、低成長かつ財政赤字が増え続ける現状が望ましいはずはない。日本では、企業の生産性上昇率が相対的に高くとも、生産年齢人口から外れる高齢者人口が増加しつづけており、企業も縮小均衡的な人件費カットで生産性を向上させている面がある。その結果が低成長であり、もっと拡大均衡的な企業活力の向上が不可欠となっている。
景気低迷の下で企業活力を上げるのは簡単ではない。しかし、2013年は、規制緩和や海外経済を取り込むグローバル化の推進などを通じて主要国全体が一層の企業活力増進を模索する年となろう。
広がりをみせるシェールガス革命
2013年の世界経済を見るにあたっては、アメリカのシェールガス革命についても触れなければならない。アメリカでは安価なシェールガスの増産が続いており、割安のエネルギーコストが経済の下支えと産業全体の競争力強化に寄与しつつある。