2022年10月7日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2012年10月3日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部 教授

東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所調査本部長、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

シェールガス革命が起きている

 米国で、膨大に埋蔵されているシェールガスの増産が進んでいる。国際エネルギー機関(IEA)は、米国内のシェールガス埋蔵量は現在の生産量から計算すると約100年分あると報告している。

(図表1) 米国の天然ガス自給率
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 シェールガスによって、米国での天然ガス生産量は増加するとともにその価格が下落しており、天然ガスの自給率は目に見えて上昇している(図表1)。そして、今後ともさらに自給率は上昇し、天然ガスがより多くの分野で活用される方向が確実視されている。米国では、「シェールガス革命」との表現も定着している。

 シェールガスの増産は、安価なエネルギー・電力価格をもたらし、天然ガスやエネルギーを使用する化学産業などの関連産業の採算や競争力を向上させて、大いに活気づけている。すでに50万人以上の雇用を生んでいるとの試算や、今後5年間毎年米国のGDPを0.5%押し上げるとの試算も発表されている。

 さらに、天然ガス自動車の開発普及や天然ガスからガソリンなど軽質油を抽出するなど、いままで石油が役割を果たしてきた分野にガスが進出していくことも見込まれている。シェールガスの増産が産業構造や技術革新、さらには人々のエネルギー利活用の変化を通じて米国の経済成長率にまで大きな影響を与えることになれば、90年代のIT革命と同じように「革命」と呼んでおかしくはない。

日本も無縁ではいられない

 シェールガス革命が米国で広がることになれば、日本も無縁ではいられない。それどころか、国内にシェールガスが埋蔵されていなくても、米国のシェールガス革命をひとつの契機として日本版ガス革命が到来する可能性すらある。

 日本がガス革命に無縁でいられない理由はいくつもある。ひとつは、世界的に安くて豊富な天然ガスの利用が広がるならば、日本もそれに応じた経済社会や産業構造を作っていかねばならないことだ。

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