2024年2月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月21日

 イランは米国の一方的離脱の補償を要求しているが、その補償の内容は核合意成立以降における核とは関連のない(弾道ミサイルや人権などに関連する)制裁の解除である。彼は核合意の「相互の順守」に立ち返るという原則は交渉の基礎になり得ないとも主張しているが、トランプが合意を一方的に離脱したのであるから、この主張には根拠があると言わざるを得まい。

バイデン政権に求められる腹案

 イランの行動は無謀である――例えば、核兵器を持つ積りのないイランが20%ないし60%のウラン濃縮を行うことは正当化出来ない。しかし、核合意を潰した一義的責任は米国にあることを踏まえて、ここは米国がイランの顔を立てる何等かの柔軟性を工夫すべきだと思われる。

 フィナンシャル・タイムズ紙の12月3日付け社説は、「イランが求める保証は提供出来ないかも知れないが、イランが核活動を逆転させることによって得られる経済的利益の保証を与える余地はある」として、イランの一定のセクターとの貿易ライセンスの付与および海外にある石油収入の凍結解除の約束を、その一例として挙げている。

 イランの顔を立てる工夫をなし得ないのであれば、核合意の復活はないであろう。そういう工夫を成し得ても、イランが制限を超える濃度のウランを蓄積し、新たな高速遠心分離機を設置し、あるいは兵器に必要な金属ウランの製造技術を習得するに至っているため、もはや元に戻ることは出来ないかも知れない。そうなった時どうするか? トランプ政権に腹案があったとは思われない。バイデン政権に良い策があるようにも思われない。

   
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