2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2022年1月2日

 バーベキューやキャンプといった外でのレジャーは、「3密」を防げるとして、コロナ禍でも楽しめる遊びとして、新たに始める人が増えている。ただ、そうした潮流を読み、参入する企業も増えているという。

 大工を経て、型枠職人をやっていた渡曾社長は、趣味のキャンプをしていた際に、「こんな物があったらいい」「あれば便利だ」と思うものを自ら作ってきた。そうした道具がキャンプ仲間からも認められ、仕事として製造・販売していくようになり、事業として成り立たせることに成功した。

 同社は、丈夫で壊れないハンマーや鉄鍋、ランタン・ハンガーなど、痒い所に手が届く品を製造する。鉄を使った素朴な品が長く使えるととともに、利用者に愛着を持たせている。ただ、そうした品は需要があるとわかれば、他社が商品開発を進めることとなる。「自分たちの位置付けをどうするか、考えあぐねている」と渡曾社長は話す。

 渡曾社長は、新たなキャンプ用品、パーカーや防寒着といった服飾品といった商品の開発を進めているが、独自の物を生み出すまでにはいたっていない。「ひらめきやアイデアをすぐに形にできるようなスピード感も持たなければならない」と改革案を検討中だ。

品薄マスクの製造と作業所からの相談

 群馬県桐生市で絹織物の体験工房を営む絹遊塾工房風花は、1回目の緊急事態宣言時に、2カ月ほど工房を休まざるを得ない状況となった。板野ちえ代表はその間に自分が何をできるのかを考え、当時、品薄となっていたマスクを絹で作ることにした。

 「今までになかったほど1つの物を作るのに深く考えて、試作を続けた」と振り返る。絹を3枚重ね合わせた三層構造は息もしやすく、耳掛け部分をシルクとしたことから、かぶり続けても痛くならないことから、一定の評判を得た。

 その後、養蚕を手掛ける障害者が働く作業所から、「生糸を作る時に出てしまう糸くずで何かできないか」と相談を受けた。その時は、工房を再開することはできたものの、感染拡大時期は客を入れることができない状況。相談に乗る時間がある上、浮き沈みの大きい売上を補填することができるかもしれなかった。

 板野代表はもともと、祖父が機屋に糸を卸す事業を始め、父親がそれを継いだ糸屋の娘として育ち、実家の事業を手伝ったりインテリア会社で布からのれんやカーテンといったサンプルを作る仕事に携わったりする中で、生糸から機織り、糸や布を染めて製品化するまで全てを工程をやりたいと、現在の工房を立ち上げている。糸やそこからできる絹織物がただ好きということから仕事をし、糸となり得るカイコがつくる繭玉はすべて使い切りたいと思っている。


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