2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2022年1月2日

 新型コロナウイルスは、生活の新常態を生み出している。世間では、企業のマイナス面での影響が大きく取り上げられがちだが、会社の事業によってはプラスに働いているところもある。勤め人を辞め、自ら事業を立ち上げ社会の荒波にもまれてきた「さらばリーマン」たちは、どのように風を読み、乗ろうとしているのだろうか。

(ismagilov/gettyimages)

向かい風と追い風が到来

 物をインターネットでつなぐIoTを通じて業務管理システムを構築するIoTBASEは、コロナ禍で追い風と向かい風を同時に受けた。

 同社は、さまざまなセンサーやカメラから取得するIoTデータを統合管理するクラウドサービスを開発し、自治体やインフラ業などの設備の遠隔監視や工事現場の安全管理向けに展開している。同社の澤和寛昌社長はIoT専業のコンサルティング会社として起業し、そこから学んだノウハウを元にこの事業に行きついている。

 さまざまな事業者とIoT導入に向けた検討を進めていたのだが、コロナ禍の影響で多くの企業が先を見通せない状況になったことから、事業推進の見送りが相次いだ。「半年や1年かけて提案していた案件が無期限のペンディングになってしまった」と澤和社長は当時の状況を語る。

 ただ、その一方で、リモートワークを中心とする企業の業務デジタル化への流れが加速した。「IT化に積極的でなかった企業も現場主導で変えていこうとする動きが出てきていた」(澤和社長)という。同社はそれまでの公共施設やインフラ管理のIoT化に焦点を当てていた事業から、広く業務全体のデジタル化を対象とする事業へと転換を図ることを決めた。

 現在、企業内や取引事業所間での報告書や指示書のやり取りをアプリ化できる新たなシステムの開発を進めている。「勝負時だと感じ、投資を決断した」と澤和社長。新製品は2022年内には発売予定だ。

需要の高まりこその苦しみ

 追い風が必ずしも良い経営環境を生むということでもない。

 キャンプ用品の製造・販売を手掛けるsanzoku mounntainの渡會誠治社長は「アウトドアの人気は若い人を中心に確実に高まっている。けど、そのために競合も増えている」と現状を話す。


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