2024年12月4日(水)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年3月9日

 消費の動向、市場の状況を見極めながら、常にイノベーションに挑戦をする「米以外の食品」の対応を見習うべきだ。例えば、競争相手といわれる小麦粉についても、なぜ、かつての「うどん粉」が「メリケン粉」を経て、現在のような調理・利用適性に見合った「多様な商品名」なったのか。また容器も使いやすい品ぞろえで市場に出ているのかを思い返してみるとよい。

 相も変らぬ米粒の良質米志向でよいのだろうか。粒食だけではない米粉需要、お湯や水を加えるだけで食べられるようになるアルファ米などへの需要、輸出向けの需要など多様な消費へ変化が見られる。ごく最近は、グルテンフリーも、その一つである。コメ以外の穀物食品だけでなく、「米がコメとの競争に負ける」ということにもなってきた。

需要動向を見極め、商品開発し、市場で優位に立つ

 底流を流れる「食に対する比較的緩やかな需要の変化」は、コロナ禍によってビビッドにクリアに見えてきた。自宅での食事の機会が増加したとしても、「米を研いで炊いて副菜を作って」という従来型には戻らない。

 「食」の需要に関する状況は、急速にかつ大きく変化している。外食産業やそこへ出荷していた農業者は厳しい経営環境になっているのに対して内食関連の事業者は、収益の拡大が進んでいる。

 農水産の関係者は、こうした「変動のとき」を見逃さずに、マーケットを意識した生産・供給へ舵を切る必要がある。とくに、「米」の関係事業者の方々には、ぜひともの頑張りを期待したい。世界に優れた生産・環境装置である水田と高い生産性、高い栄養価値を有する「高級財」の米を「コメ」に広げて消費に応えていこう。マーケットインは、生産のそして循環の基本である。

 価格は市場での競争に委ねて消費者の志向・選択を重視し、所得は経営政策でカバーし「持続的生産を確保」、先進国ではごく当たり前の政策に転換していく。「米粒での価格維持」「食管制度の亡霊」「国家統制」から脱却して、マーケットインとマーケテイングで「日本の食の再生」を実現したい。

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