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2022年4月26日

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ウクライナに侵攻しているロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は25日、現在の紛争が核戦争にエスカレートする可能性があると述べ、ウクライナと西側の姿勢を非難した。ウクライナ各地ではこの日も、鉄道の施設が爆撃されるなどロシア軍の攻撃が続き、多数の死傷者が出た。

ラヴロフ氏の発言は、政府系テレビのチャンネル1のインタビューの中で出た。

ラヴロフ氏は、ロシア政府として、核戦争のリスクが「人為的」に高まることは避けたいと主張。「これが、私たちのすべての基礎となっている重要な立場だ。今やリスクはかなり高い」と述べた。

また、「そうしたリスクを人為的に高めたくない。多くの人がそれを望んでいる。危険は深刻かつ現実であり、過小評価してはならない」とした。

ラヴロフ氏は先週、ロシア政府は核戦争の回避に尽力していると述べていた。この日のインタビューでは、紛争がエスカレートする可能性を指摘した一方で、和平協定が結ばれる見通しへの希望も表明した。

ラヴロフ氏の発言について、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は25日、ロシアが「世界を脅してウクライナ支援をさせないようにする最後の望み」を失ったことを示しているとツイート。

「第3次世界大戦の『現実的な』危険について話をしているのはそのためだ。ロシアがウクライナでの敗北を察知しているという意味でしかない」とした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2月24日のウクライナ侵攻開始から間もない2月27日、ロシア軍の核抑止部隊に「特別警戒」を命じている

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核攻撃をめぐってはロシアの国営テレビが22日、イギリスのボリス・ジョンソン首相がロシアに対して一方的に実施すると脅したと伝えていた。

英首相官邸は25日、「こうした主張は全く真実ではなく、ロシア政府が宣伝する偽情報の新たな一例だ」との声明を出した。

「ロシアと交戦」とNATOを批判

ラヴロフ氏はまた、西側諸国がウクライナに兵器を供与していることについて、北大西洋条約機構(NATO)が「実質的にロシアと戦争をしている」と述べた。

ラヴロフ氏は、「それらの兵器は、ロシア軍の特別作戦の範囲で、正当な標的となる」と主張。「NATOは代理国を通して実質的にロシアと戦争をしており、その代理国を武装している。戦争は戦争を意味する」とした。

ラヴロフ氏はこの日のインタビューでさらに、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領について、交渉する「ふりをしている」とし、「いい役者だ」と評した。

その上で、「彼の言うことを注意深く見て読み取れば、1000の矛盾が見つかるだろう」と述べた。

ロシア軍が鉄道を攻撃

ウクライナ当局は、中部と西部の鉄道駅5カ所が25日朝のほぼ同じ時間帯に攻撃を受けたと明らかにした。

また、西部の都市リヴィウに近いクラスネにある架線用の変電所もミサイル攻撃を受けたとした。

これらのうち、ヴィンニツャ州の2つの町であった攻撃では、少なくとも5人が死亡し18人がけがをしたという。

ロイター通信によると、ロシア国防省は声明で、鉄道の動力施設6カ所をミサイルで破壊したとした。鉄道は、ウクライナ軍への外国からの武器供与に使われているとした。

ゼレンスキー氏「勝利は必至だ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日夜に公開されたビデオ演説で、ウクライナの勝利は必至だが、戦争終結の時期は予測できないと述べた。

ゼレンスキー氏は、「多くの都市とコミュニティーがまだ、一時的にロシア軍の支配下にある」と説明。「だが、私たちの土地の解放は、時間の問題でしかないと確信している」とした。

また、ウクライナがロシアを打ち負かす時期については「単純な答えはない」とし、すべての国民が戦えば勝利と平和は早く訪れると述べた。

さらに、「占領者に私たちの土地にとどまるのは耐えがたいと感じさせるため、どのような方法があるのか日々考えなくてはならない」、「ロシアが平和を求めるため、すべてのウクライナ人がまだ戦わなくてはならない」と呼びかけた。

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ヘルソン市議会をロシア軍が占拠か

ウクライナ南部の都市ヘルソンのイホル・コリハイェウ市長は25日、ロシア軍が市議会の庁舎を占拠したと、フェイスブックに投稿した。

ヘルソンは、ロシアが2月下旬に侵攻して以降、制圧に成功した唯一の主要都市。ロシアは3月前半に制圧したが、市議会はウクライナ側の影響下で機能を続けていた。

市長によると、ロシア軍は議会庁舎の鍵を奪い、警備員を自軍の兵士に替えた。市長は同日午後7時45分に議会庁舎を出たという。

ウクライナの報道機関プラウダは、ヘルソン市議会が26日以降、機能しなくなると伝えた。また、市長と議会職員には帰宅の機会が与えられたと報じた。

ヘルソンについては、ロシアが2014年に併合したクリミア半島への陸の橋を確立し、ウクライナ南部を支配するために重要だと、英国防省が24日の情勢分析で指摘。占拠を正当化するための「仕組まれた住民投票」を予定していると分析している。

隣国モルドヴァで爆発

ウクライナの西隣にあるモルドヴァの内務省は25日、同国のトランスニストリア地域にある国家安全保障当局の建物で爆発が数回あったと、通信アプリのテレグラムで明らかにした。同省によると、建物は携行式ロケット弾で攻撃されたとみられる。けが人はなかったという。

モルドヴァがウクライナと国境を接するトランスニストリア地域では、1990年9月にロシア系住民が「沿ドニエストル共和国」を宣言したものの、国際社会は承認しておらず、国際法上はモルドヴァの一部。

ロシア軍の司令官は先日、同地域で「ロシア語を話す人々への迫害」が起きていると根拠を示さずに主張。ロシアがウクライナ南部を完全掌握し、トランスニストリア地域にアクセスできることが望ましいと述べていた。

一方、ウクライナ国防省は、今回の爆発について、ロシアによる「計画的な挑発」だとし、現地に「パニックと反ウクライナ感情」を植え付けるのが目的だとした。

ロシアの「弱体化」望む=米国防長官

アメリカのロイド・オースティン国防長官は25日、ロシアが「弱体化」し、他国の脅威とならないことを望んでいると述べた。

オースティン長官は、24日にアントニー・ブリンケン国務長官と共にウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と3時間以上会談した。その翌日、ポーランドで記者会見に臨んだ。

オースティン氏は、「ウクライナ侵攻のようなことができくなるほど、弱体化したロシア」が望ましいとの考えを表明した。

また、ウクライナが「適切な装備」と「適切な支援」を得れば、戦争に勝つ可能性があるとの見方を示した。

オースティン氏はさらに、アメリカとしてウクライナと欧州の国々に7億1300万ドル(約900億円)の追加軍事支援を実施すると発表した。

BBCのジェイムズ・ランデール編集委員(外交問題担当)は、ロシアの「弱体化」を望むとしたオースティン氏の発言について、米国防長官としては異例の強い発言だとした。

(英語記事 Live ReportingUS wants weakened Russia to avoid repeat of Ukraine

提供元:https://www.bbc.com/japanese/61225605

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