コロナ禍で意図せず本気度が問われる結果になったが、それ以前には、世界の優秀な若者に日本を留学先として選んでもらうために、日本政府は国内の大学に対して積極的に働きかけていた。日本は欧米には明らかに後れを取っていたし、アジアでも英語を主要言語として留学生の受け入れを増加させているシンガポールや、国を挙げて留学生誘致政策を行っている中国や韓国の動向もその背景にあった。
留学生を受け入れた米英に対し、日本は
日本政府は留学生誘致政策においてアクセルを踏まなければならなかったところで、コロナ禍により急ブレーキを踏み、それを見直すのに他国よりも時間がかかってしまったのである。
20年春に新型コロナが世界に拡大すると、どの国も国境を閉ざし、それに伴って留学生の入国も止まった。しかし21年に入ると米国や英国などは水際対策を緩和する動きに転じ、留学生の入国も再開した。間もなく学位取得を目指す者のみならず、交換留学生にも一気に門戸を広げた。
筆者が国際センター長を務める南山大学でも、21年秋学期には交換留学生の海外への送り出しを開始した。日本学生支援機構も派遣学生への奨学金の提供を再開し、日本政府が学生の送り出しを事実上認める形となった。
だが、日本人学生は「送り出す」一方で、水際対策によって外国人学生は「受け入れない」という日本政府の方策は続いた。その後、……
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