Wedge SPECIAL REPORT

2021年11月4日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙『日経ウイークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書に『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』 (角川新書)など多数。

韓国や台湾が新型コロナウイルスによる外国人労働者の入国規制の緩和に乗り出している。日本もまた受け入れを進めることが予想されるが、「Wedge」2021年10月号特集「人をすり減らす経営はもうやめよう」の記事では、外国人の〝便利使い〟がアジア各国の人々の足を遠のかしていると指摘している。内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
イラストレーション=Malte Mueller/Gettyimages

 ひと昔前の日本では、夜になれば商店は閉まり、元旦は皆で一斉に休んだ。それがいつしか、深夜でも元旦でも当たり前のように営業するようになった。「店が開いているから行く、行くから開く」というパターンが定着し、店も営業日や営業時間を増やし、従業員の休みが削られ、疲弊していく──。そんな日本の象徴が、全国津々浦々で24時間営業しているコンビニエンスストアである。

 それだけではない。牛丼チェーンやファストフード店、細かな時間指定で届く宅配便、コロナ禍で人気の「Uber Eats」……。今や日本人の生活には、世界でも最高水準の便利さがある。しかも商品やサービスの価格が、先進国としては破格に安い。

〝便利で安価な暮らし〟は、私たち消費者の欲求に企業が応え実現した。ただし、その陰には昼夜を問わず、低賃金で働く人の存在があることを忘れてはならない。消費者が求めるサービス水準を低価格で満たすための労働力確保は、もはや日本人だけでは難しくなり、「留学生」という名の外国人労働者なくしては成り立たないのが日本の偽らざる現実だ。

 その多くは〝留学〟を装い、出稼ぎ目的で日本へやってくる〝偽装留学生〟たちである。彼らは捏造書類を使ってビザを取得する。そんな事情もわかって日本は偽装留学生を受け入れ、日本人の嫌がる仕事で労働力として利用してきた。

 偽装留学生がいなくなれば、コンビニで売られる弁当などは確実に値上がりするはずだ。宅配便はもちろん、新聞でさえも決まった時間には届かなくなるかもしれない。だが、底辺労働を担う外国人なしでは成り立たない便利で安価な暮らしに、本当に〝持続性〟などあるのだろうか。

違法就労しないと
生活が成り立たない

 ベトナム南部・ロンアン省出身のフイ君(25歳)は3年前に来日した偽装留学生だ。日本語学校の2年を経て現在は専門学校で学んでいる。彼の今の夢は「コンビニでのアルバイト」だ。

「だけど、ワタシは日本語が上手ではない。だからコンビニの仕事は難しいかもしれない」

 留学生のアルバイトといえば、コンビニや飲食チェーンの店頭で働く外国人が思い浮かぶ。しかし接客の仕事に就ける留学生は、一定レベルの日本語を身につけた〝エリート〟だ。それより多くの留学生が、日本人の目に触れない場所で働いている。典型的な職場が、コンビニで売られる弁当など食品の製造工場や宅配便の仕分け現場だ。

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