2024年11月20日(水)

Wedge REPORT

2013年3月22日

韓流ブームに沸く日本だけでなく東南アジアでも韓国ドラマは大人気だ。韓国ドラマ躍進の背後には政府の後押しもあるが、海外展開に適した制度や、若いクリエイターに制作を任せるという風土も大きく影響している。ドラマなど日本のコンテンツも、韓国を凌ぐことはあっても劣ることはない。安倍晋三首相はクールジャパン戦略担当大臣まで設置し、アベノミクスの柱である成長戦略のなかで日本コンテンツの海外輸出を掲げる。補正予算では170億円という今までにない破格の財政支援も打ち出した。国内市場が縮小するなかで、これまでの国内向け作品の輸出から、海外マーケットを狙った作品も生まれつつある。日本のコンテンツは、もっと世界で売れるはず。さぁ、「クールジャパン2.0」の幕開けだ。

地方の番組制作会社が
フランスでヒット番組

 広告出稿は漸減しているものの、足元では「国内の視聴率競争で勝つことが絶対」と、在京キーテレビ局関係者は口を揃える。とはいえ、事業環境の変化は、地方局にとってはすでに目の前にある危機だ。テレビ新広島(TSS)の子会社で番組制作を行うTSSプロダクション。2007年、親会社に頼らない収入源を持つことを目的に番組のネット配信を開始した。

仏でのJIM感謝祭に出演したバニラビーンズ (提供:TSSプロ)

 英語、中国語、韓国語の字幕を付けた観光、食、音楽、ファッションなどを軸に日本を紹介する『Japan in Motion(JIM)』という番組だ。

 企画を立ち上げた白神道空プロデューサーは「広告収入を狙ったのですが、当初はやればやるほど赤字でした」と振り返る。余計な仕事をする暇があれば本業に注力しろ……。無言の圧力にもさらされた。

 それでも、JTBのグループ会社が外国人観光客向けに運営する「JAPANiCAN」のサイトに観光地の映像を提供する代わりに旅費を負担してもらうなどし、少ない予算で番組を制作する工夫をした。制作チームも白神プロデューサーと担当部長の2人。白神プロデューサーは、スポンサー探しの営業、企画、ロケ、映像編集まで全て1人で行った。

 「中国地方の観光地紹介や、地元企業による職人技など、東京発ではないニッチな情報発信」を続けることで番組への評価は次第に高まっていった。


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