2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年3月21日

 そして次の党大会では、彼ら2人こそが、将来の国家主席・総理大臣候補として政治局常務委員にさらに昇進する見込みである。

 「共青団派」はそれで、最大5名の幹部を次期政治局常務委員会に送り込むことが出来るのだが、もしそれが成功すれば、「共青団派」は間違いなく権力の中枢を掌中に収めることとなる。

 そして次の党大会に続く全国人民代表大会では、おらそく「共青団派」は今の首相の李克強氏を次期全人代委員長に祭り上げながら、副首相の汪洋氏を次期首相に昇任させて若手の孫政才氏あたりを副首相に据えて、国家の行政機関を完全に掌握することとなろう。

 こうなると、天下は確実に、彼ら「共青団派」のものとなるのである。

 さらにその時、「共青団派」の天下取り戦略の達成に資するもう一つの決定的な要素がある。次の党大会が開催される2017年となると、江沢民派の総帥で今年86歳の江沢民氏その人は、すでにこの世にいない可能性が極めて大きいのである。その一方、江氏より16歳下の胡錦涛氏は依然として健在のはずである。そうなると、江沢民派と「共青団派」との力の対比は明々白々なのである。江沢民派の天下が確実に「共青団派」の手に移っていく見通しである。

 「共青団派」のこのような天下取り戦略に業を煮やし、何とか阻止しなければならないと考えるのはやはり、今の共産党総書記で国家主席の習近平氏であろう。彼からすれば、自分が党と国家のトップとなった以上、天下はすなわち自分のものであり、江沢民派の天下でもなければ「共青団派」の天下でもないのだ。

太子党独特の「オーナー意識」

 実は、いわゆる「太子党」の出自の習近平氏とその仲間たちの間には、「天下」というものに対する独特の「オーナー意識」があるのだ。太子党である彼らの父親の世代が、開国の父だった毛沢東と共に戦ってこの中華人民共和国を作ったものだから、太子党の習近平たちの意識においては、自分たちこそが生まれつきこの国の正当なる継承者であり、政権を受け継ぐ当然の権利と使命があるのである。つまり彼らからすれば、自分たちこそはこの政権のオーナーであり、天下はあくまでも自分たちの天下なのである。

 そして習近平氏たちからみれば、江沢民派にしても「共青団派」にしても、それらの人たちは単なるこの政権の「雇われた経営者」であり、天下のオーナーである自分たちにとっての「使用人」にすぎない。


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