そもそも人間も企業も、自分(社)のことは自分(社)が一番よく分かっていると思い込む傾向が強い。しかし、例えば、外国人に「なぜ、『ありがとう』と伝えるべきところ『すみません』という言葉を使うのか」と問われても、多くの日本人は普段、そのようなことを気にして暮らしていないので、咄嗟に答えることは難しいはずだ。
相手を知る「参与観察」という手法
人類学者は、いかに奇異に見えても他者や異なる社会には私たちとは違う論理や機序があるという視点を持ち、その集団の中に入って彼らと暮らしながら、細かく人々の言動を観察する「参与観察」という手法を採る。そのため、基本的にインタビューという形式ではなく、一緒になって古着を売ったり、生活したりする中で、経験的・身体的に他者の行動を捉え、疑問に思ったことを尋ねて記録していく。
このように「外からの視点」から問うことで、内側にいる人たちも普段は気にも留めていなかった言動の意味を浮かび上がらせ、共有するのである。
今、多くの日本人は、……
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