同心たちの調べが進み、ふたりは白洲に引き出される。
小間物屋が婿入りした先のお店の娘が見初めていたのが、実は島流しにされた飾り職人であることが明らかにされる。小間物屋はそれを阻止するために、職人を酔わせたうえ、偽装殺人を仕立てあげ、自らは名前を変えて婿入りした。
東山は職人に生まれ変わって生きることを諭すのであった。
自分が一度は婿入りできる直前までいったことを知り、「嫁など思っていた俺がそんなことだったら、おっかさんもよろこんでくれるだろう」と泣き崩れる。
下手人の小間物屋に遠島を命じて、一件落着となる。
歌舞伎役者も負けてはいない
歌舞伎も落語も演じる人によって、所作やセリフ、口調が変わるばかりではなく、登場人物の描き方に陰影が加えられる。
「大岡」に挑んでいる東山はこれまで、藤田まことの人気シリーズのリメイクの主役も務めた。「必殺仕事人2010」は、藤田の追悼ドラマになった。
歌舞伎役者も負けてはいない。BS時代劇「妻は、くの一」で、市川染五郎が天文学に長けた平戸藩士を演じている。密偵として送り込まれた幕府の「くの一」と1カ月の新婚生活を送るが、その妻に去られ、江戸に出る。妻を探すラブスト―リーと、天文学を使った事件の謎解きが絡み合う、新しいタイプの時代劇である。
事故から立ち直った染五郎の復活の舞台となった「二月大歌舞伎」で、父親の松本幸四郎、息子の松本金太郎の三代による「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)」を観た記憶がよみがえる。酒乱の若殿を演じた彼が、「妻は、くの一」では軽妙な演技をみせる。
東山の「大岡」と、染五郎の「妻は」が競うように並行して放映されている。 (敬称略)
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