2022年10月3日(月)

BBC News

2022年9月15日

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欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は14日、エネルギー価格の高騰を受け、欧州連合(EU)加盟国に電力消費の削減とエネルギー企業への特別課税を呼びかけた。

フォン・デア・ライエン委員長は欧州議会での施政方針演説で、ロシアのウクライナ侵攻以降、ガス・電力価格が史上最高額に達していると指摘。ピークタイムので電力消費を少なくとも5%削減するよう訴えた。

一方、天然ガス価格の上限設定は棚上げされた。天然ガスは、ロシアの対EU主要輸出品。

ロシアのウクライナ侵攻により燃料価格が高騰する中、エネルギー企業は通常より大きな利益を上げている。8月には国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、石油・ガス企業に特別な税を課す必要があると述べた。

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欧州委員会の提案は「超過利潤」に着目。低炭素で発電する企業から利益の一部を徴収するとともに、石油・ガス・石炭の関連企業に事実上の超過利潤税を課す。

これにより得られる約1400億ユーロは、加盟27カ国の消費者や企業支援に還元するという。

風力や太陽光、原子力など低炭素資源を利用するエネルギー企業については、1メガワット時当たりの利益の上限を180ユーロとする。EU最大の経済を持つドイツでは14日、1年先の電力価格が1メガワット時あたり500ユーロで取引されている。

欧州員会のフランス・ティメルマンス副委員長は、「運用コストの低い発電事業者は現在、合理的な投資判断の域を超えて、異常な利益を得ることができる」と指摘した。

一方、化石燃料の生産者や精製事業者には、 課税対象となる超過利益の33%に、特別税を課す予定。

EU加盟国はこの提案について、9月末までに調整を進める方針だ。

フォン・デア・ライエン委員長は、「数百万もの企業と家庭にとって、生計を立てることが不安の種になりつつある」と指摘。「こうした時期に戦争から異常な記録的収益を上げ、顧客に背を向けることは間違っている」と述べた。

また、14日午後にはウクライナでウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談すると明らかにし、「欧州とウクライナの連帯は揺るがない」と話した。

この日の欧州議会には、ゼレンスキー氏の妻のオレナ・ゼレンスカ氏が招かれていた。

「ロシアの産業は破綻している」

フォン・デア・ライエン氏はこの日の演説でEUの対ロ制裁を擁護。「今は融和ではなく決意を示すべきときだ」と話した。

また、1000社近くの国際企業がロシアを去ったと述べ、「ロシアの金融セクターは生命維持装置が必要だ」と述べた。

「ロシア軍は半導体不足のため、食洗器や冷蔵庫からチップを取り除いて兵器を直している。ロシアの産業は破綻している」

ロシアは今のところ、大規模な制裁が科された今春に推測されたような経済的メルトダウンを、おおよそ避けられている。石油や天然ガス輸出による収入が、制裁の衝撃を緩和しているためだ。

それでも、EUへの輸出は大幅に減っている。侵攻前にはEUの輸入する天然ガスの40%をロシア産が占めていたが、現在は10%以下だ。

しかしその結果、欧州ではこの夏のガス価格が過去10年平均の10倍に達した。

EUでは冬に向けた天然ガスの貯蔵が始まっている。フォン・デア・ライエン氏によると、EU各国はすでに貯蔵目標の84%を達成しており、アメリカやノルウェー、アルジェリアが「信頼できる」ガス供給元となっているという。

(英語記事 Europe moves to cut peak electricity use by 5%

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62911769

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