2024年4月29日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月14日

 白書は、軍事費が2011年比11.2%増で、2012年には1000億ドルを越えたとしている。この強さは、アジア諸国に中国を恐れる理由を与えているが、中国共産党の被害妄想的な世界観は変わっていない、と論じています。

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 今回の中国の国防白書は、中国軍の兵員数を明らかにする(ただし、第2砲兵の規模は明らかにされていません)など、透明性を向上させていますが、同時に日米を強く非難しています。

オースリンが言うように、この白書は、中国の被害妄想的な世界観が変わっていないことを示しています。これは、大きな問題です。

 中国に対しては、辛抱強く働きかけるより仕方ありませんが、その中で率直な批判をしていくことも必要でしょう。日本が尖閣関連の記述について抗議をしたことは、その意味で良かったと思います。

 中国を脅威と言えば、予言の自己充足が起こって脅威になってしまうなどの議論は、今や全く取り上げる価値のない議論です。中国は、既に脅威になっています。

 中国に関しては、妙な幻想を持たず、被害者意識をもつ台頭する大国にどう対処したらいいかを、現実に即して考えなければなりません。これまでの対中政策には問題があったことを率直に認め、米国とも協議しつつ、今後の対中政策を練り直す必要があります。予断は持つべきではありませんが、習近平の中国は、毛沢東、周恩来、鄧小平時代の中国とは違い、反日的であった江沢民時代の中国に似ているように思われます。

 なお、軍事力の透明性自体はそれほど大きい問題ではありません。軍事力の規模と能力、その使用ドクトリンが大きな問題なのです。

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