2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2013年5月15日

 謎解きのクライマックスは、コロンボがこの経営者と秘書を高級レストランに招待して、あらかじめ経営者のワインセラーから持ち出したワインを供する場面である。経営者しかそのワインの味の劣化がわからない。

 死体の隠蔽から発見までの、気象の変化とワインの関係が解決の伏線となる。

 「相棒」シリーズの「殺人ワインセラー」は、コロンボシリーズの傑作「別れのワイン」に対するオマージュ(敬意)である。

 「相棒」シリーズの魅力は、名作ミステリーに対する大いなる敬意と、それをしのいでみせようという監督と脚本家の意地にある。

「ダーティハリー」シリーズにも

 「相棒」の映画版「絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」(2008年)は、クリント・イーストウッド演じるサンフランシスコ警察殺人課のハリー・キャラハンが主人公の「ダーティハリー」シリーズに対する、オマージュである。

 冒頭のミニカーによる爆破計画、犯人に都内を移動させられ、振り回される相棒……。

 ブルース・ウィリスが演じるマクレーン刑事の「ダイ・ハード3」(1995年)もまた、「ダーティハリー」へのオマージュである。小学校で子たちが歌わされるシーン、犯人たちがスクールバスで逃げようとするシーン……

 シャーロック・ホームズの作品のファンたちは、シャーロキアンと呼ばれる。ホームズと相棒のワトソン医師や登場人物についてばかりではなく、事件とその背景について詳細な知識を競い合う。

 「相棒」ファンについて、どう名づけたらよいだろうか。作品のDVDのほとんど全部を持っている、高名な学者の友人と相談することにしよう。(敬称略)

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