2024年4月26日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年10月3日

 冷凍米飯の消費が増えている要因は、その扱いやすさにもある。商品成型が容易で、作り置きが可能なため、さまざまな形の商品を作ることができる。大手アミューズメント施設では、キャラクターを象ったライスバーガーが販売され、SNSで拡散されているなど人気を博す。

 この需要の高まりを受け、冷凍米飯分野では今、新たな技術開発が進められている。一つは、より炊き立てのご飯の味わいに近づけるための冷凍技術の開発だ。

 これまでコメの冷凍技術は空冷がメインで、どうしても解凍時に炊きたてのご飯の風味を味わえるまではいかなかった。そこで、空冷に比べ格段に凍らせる時間が早い液冷で凍らせる製造装置の開発が進められている。ご飯の細胞が壊れないため、より炊き立てのご飯に近づくと予想されている。

機能性を表示した冷凍米飯も開発されている(筆者撮影)

 この商品を開発した会社は、本業はコメ卸業者だが、早くから炊飯事業にも取り組み、冷凍米飯事業にも参入した。経営者が「コメはまだまだ商品開発がなされていない」という考えの持ち主で、社内に新規事業開発部を立ち上げ、コメを原料にした「かりんとう」といった商品も開発、横浜のお土産商品として推奨されるまでになっている。

 もう一つ開発を急いでいるのが身体に良い機能性成分を含んだ冷凍米飯の開発である。消費者庁から機能性表示食品として認められた冷凍米飯は、食事に含まれるカルシウムやマグネシウム、鉄の吸収を促進する機能があるマルトビオン酸を付加することによって骨密度維持に役立つ。糖質オフという商品もあるという。

もみ殻成分に着目、コメすべてを活用した製粉

 ウクライナ情勢により価格が高騰する小麦の代替商品として注目されつつある米粉商品についても、農水省は「主食用」とは見做していない。この分野でも需要拡大の可能性がある新たな開発がなされている。コメをもみ殻からすべて微細製粉し、さまざまな用途の原料としようという試みだ。

 米粉商品と言えば精米を製粉してパンや麺に使われるケースがほとんどだが、もみ米すべてを製粉した原料というのはこれまでなかった。

 玄米のぬか層にはさまざまな機能性を持った成分が含まれており、古くからぬか漬けやこめ油、飼料等多様な分野で利用されてきた。ただし、その外皮であるもみ殻は土壌改良剤や家畜の敷料に使用されるぐらいで、その豊富な栄養素に着目した食品としての利用はされてこなかった。

 ところが近年、もみ殻には骨密度の向上や老化防止機能を持つ可溶性シリカが豊富に含まれていることがわかり、サプリメントとして利用されるようになっている。保湿性に着目したアトピー性皮膚炎向けの薬剤も開発されている。

 この多様な成分を多様な製品に開発することを可能にしたのが、もみ殻を1000分の1ミリという超微細粉にする気流粉砕機である。製造能力も極めて高い。


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