2022年8月11日(木)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年7月23日

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田牧一郎 (たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

 米国カリフォルニア州のコメの作付面積と生産量が3年続いた干ばつにより大幅に減少していることが米国農務省(USDA)の統計資料からわかった。生産量の減少による価格の高騰のみではなく、将来への供給不安は米国内に加え、ヨーロッパをはじめとするカリフォルニア米の輸出マーケットにも広がっている。こうした世界的な市場の変化は、日本のコメ産業にとって大きなチャンスとなり得る。

米国カリフォルニアでは、コメの作付と生産が減少傾向にある(tfoxfoto/gettyimages)

コメ生産が減少しているカリフォルニア州

 2010年から22年までのカリフォルニア州における水稲の作付面積の推移と生産量は、以下の表の通り。

 カリフォルニア州内の水稲作付面積は、20年から20万ヘクタールを割り、22年の推定値では、過去12年間で最高であった11年の半分近くである11.4万ヘクタールに減少した。カリフォルニアでは、コメは全て水稲作で栽培しているため、コメ作付全体の数字と言える。ダムの水や河川の流水によって農業用水として使える量が決まるため、降雨量の少なくダムの貯水量が減る年には、水稲作付面積が減少する。そうした状態が20年から3年間続いている状態となっている。

 過去には作付面積20万ヘクタール以上で、白米生産量も毎年100万トン以上だった。しかし、これも13年までであり、その後は16年に一時100万トンを超えたものの、それ以来は100万トンを下まわる生産量に止まっている。

 カリフォルニア州のコメ生産では、高反収の中粒種が作付面積全体の90~95%を占める。日本でおなじみの短粒種の作付けは2~3%にすぎず、モチ米は毎年2~3%を安定して作付けている。長粒種は毎年1%前後。総作付面積が減少しても、この比率は変わらない。

 作付面積が変わるのは、他の作物との兼ね合いだ。水稲栽培は、小麦・トウモロコシ・雑豆・ベニバナ・などの穀物生産の2倍以上の水を使う。これらの穀物やトマト・メロン・ピクルス用きゅうりなどの野菜類との比較で、限られた水でどの作物をどれだけ作付ければ、経営利益を多く得られる可能性があるのか、作業スケジュールも併せて検討し、決めている。

 販売単価も重要な判断要素であり、コメも現物および先物価格を参考にしながら、ある程度の量を実需家や精米業者と契約を結び、売り先を決めてから作付けするのが一般的である。干ばつによる水不足とこうした経営上の判断から、カリフォルニアではコメ作付が減り続けている。

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