2023年2月8日(水)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年7月23日

»著者プロフィール
閉じる

田牧一郎 (たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

高まるカリフォルニア産中粒米への需要

 世界の日本食レストランの増加は大きく、数年前に約10万店を超えたと言われている。そのレストランでご飯や「すし」として提供されているコメは、ほとんどがカリフォルニア産中粒種である。

 米国内では、日系・韓国系・中国系を中心にアジア系人口が増加しており、家庭を主とした消費量が増加している。そうした人口増加に伴い、日本食レストランやテイクアウトでご飯を提供する店も増えている。

 さらに、カリフォルニア産中粒米は、日本や韓国、台湾が世界貿易機関(WTO)で合意しているミニマムアクセス制度で輸出している。日本は毎年40万トン弱の白米・玄米を輸入する。

 これ以外の輸出先として欧州連合(EU)諸国や中東諸国があり、以前はロシアやウクライナにも数万トンの単位で輸出していた。南米にもマーケットがあり、カリフォルニア産中粒商品の供給さえ可能であれば、世界には合計100万トン以上の需要がある。

 この需要はカリフォルニアのコメ業界が開拓してきた市場で、米国のコメ業界の国レベル団体である「USライス連合会」も、海外の市場開拓に予算を付けて商品の紹介と売り込みを、根気よく継続してきた成果でもある。今後も米国のコメ業界は、アジアのコメ市場を開拓したように継続して輸出量を増やす対策を講じるはずである。

 しかし、商品の生産と供給に不安を抱えての販売促進ほど厳しいことはなく、カリフォルニア産米輸出量の現状維持が精いっぱいの状態を、これからどう改善するか難しい対応を迫られている。

 カリフォルニア産中粒種の生産が減少の一途をたどる中で、供給が今後どうなるのか。米国内はもとより世界の日本食レストランや炊飯米提供業者にとって、大きな問題となっている。

米国内外に見当たらないカリフォルニアに代わる供給源

 世界の産地でカリフォルニア産米と競争可能な品質や価格で供給できる産地は存在してない。

 米国南部の州でもコメ生産には長い歴史がある。カリフォルニア州の5倍の約100万ヘクタールで毎年生産されている。

 しかし、南部の州で栽培されているコメは、ほとんどが長粒種であり日本食レストランで提供される炊飯米には、不向きである。カリフォルニア中粒品種を南部で生産しようと考えても、種子を開発して権利を所有している「カリフォルニア米育種試験場」が生産を州内に限定し、種子を持ち出して生産することを禁じている。

 米国南部の州でも独自に中粒種の品種改良をしながら、生産を試みているものの、炊飯しての食味評価では、カリフォルニア産米の比較にはならない。市場での販売は現状、実現されていない。

 米国以外では、スペインで中粒種が生産され、主にEU内で流通している。販売価格はカリフォルニア産より安い。

 EU内の生産と販売は、鉄道輸送などの経費も小さく、安価に販売できている。しかし、ヨーロッパでコメを販売している食品卸業者は、安定した高品質のカリフォルニア産中粒種を輸入して販売している。カリフォルニア産米の供給が減少した時に仕方なくスペイン産の中粒種を扱っていると言われている。日本食レストランなどでは、良い商品とは言えないとの評価もある。


新着記事

»もっと見る