2024年4月27日(土)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年10月3日

 気流粉砕機の内部に設置してあるインペラ(逆回転する羽)の大きさを変えることによって年間3万トンの穀物を製粉できる。全国の米粉製粉会社すべてが小型製粉機を稼働させると年間4万トン程度ということを考えると、その規模の大きさがわかる。

 気流粉砕機を開発した会社は、粉砕したサンプルをさまざまな分野の企業に試料提供している。栄養補助食品や高機能米粉などのほか、工業用原料として使用される可能性もある。

海外市場を見据えた肝臓病患者向け玄米

 コメには優れた機能性成分が含まれており、上手く活用すれば、より付加価値を有した商品が誕生する。それがコメの需要が拡大させることは間違いない。

 その端的な例が最近、JAS規格の認証を得た低たんぱく加工処理玄米の包装米飯である。この商品は、タンパク値の低いコメ品種「媛育83号」や「春陽」を、乳酸菌を活用した特殊な加工処理を施したものである。

 低たんぱく食は腎臓病患者にとっては必須なものだが、実際に食事療法を実施している患者は4.5%しかおらず、血液透析を受けなくてはならなくなるケースが多くある。腎臓病患者でも安心かつおいしいという玄米のパックご飯を提供しようとしている。

 製造工場としてすでに数カ所が名乗りを上げているほか、輸出商品として販路を広げる計画も練られている。計画書では、「国際的なシンポジウムを開き、たんぱく質摂取の効果的基準を策定し、わが国が主導して腎臓病患者用の適切なたんぱく摂取量が含有される加工処理玄米こそが透析に代替する食事療法であることを示し、国際標準化策定のための契機にする」と高らかに宣言している。

 「コメの消費は減った」と言われているが、広い視野を持つと、その可能性はまだまだある。成長の花を咲かせようとする取り組みを阻む政策は決してやってはいけない。たとえそれが「主食用」ではないと判断したとしても。

   
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