2022年11月28日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年10月14日

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 イランでは、ヒジャブ(女性が髪の毛を隠すための頭巾やスカーフ等)の着用義務違反で道徳警察に逮捕された、22歳のアミーニさんが警察署内で亡くなった事件に対して抗議デモが広まっており、治安部隊との衝突で死傷者がでている。さらに、デモ隊はイスラム革命体制打倒を叫んでいると伝えられる。

Kachura Oleg / iStock / Getty Images Plus

 この抗議デモにつき、ニューヨーク・タイムズ紙の9月20日付け解説記事は、次のように報じている。

・抗議デモは女性が主導していて、12以上の都市及びテヘランの大学で起きている。19日のデモでは、女性はヒジャブを外して抗議の意味で振り回し、男女を問わず参加者達は「われわれは、闘い、国を(イスラム革命体制から)取り戻す」と唱和していた。治安当局はデモ隊に対して銃を発射し、放水を行い、さらに、デモ隊のメンバーを追いかけて容赦なく警棒で殴りかかっている。

・アミーニさんの故郷であるイラン北西部のクルディスタンでは、9月17日の彼女の葬儀以来、抗議活動が起きており、人権団体によれば3つの都市で4人が射殺され、85人が負傷し、200人が逮捕された。

・イランにおける過去の全国規模の抗議活動と同じく、特定の出来事(今回はアミーニさんの死亡)をきっかけに抗議活動が始まり、すぐさま、群衆は「イスラム革命体制を終わらせろ」と叫ぶようになった。このような抗議活動は、抑圧的な体制と経済的困難の下で殆ど希望が無いという多くのイラン人のフラストレーションを反映している。しかし、これまで、大きな反政府デモは、治安部隊が大規模に動員されて蹴散らされてきた。他方、アミーニさんの死は、宗教界を含めてイラン国内で広範な怒りをもたらしている。高位の聖職者等も道徳警察の廃止を要求し、政府が宗教的モラルを強要するために暴力を用いる事を非難している。

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 イランでは、理由はさまざまだが、数年おきに全国規模で反政府デモが起きている。例えば、2017年にはロウハニ前大統領再選後にロウハニ政権を批判する大規模なデモが起きたが、これは大統領選挙に負けたライシ師(現大統領)を支持した保守強硬派が仕掛けたものと言われている。しかし、ロウハニ大統領への批判は、たちまち、イスラム革命体制批判になり、保守強硬派を慌てさせた。

 また、19年にもガソリン価格の突然の大幅値上げをきっかけに全国規模でデモが起きたが、やはり、デモ隊は、イスラム革命体制打倒を主張した。今回も、若い女性の不審死への抗議がイスラム革命体制への批判となっていると指摘されているが、イランで大きなデモが起こると、イスラム革命体制自体に対する批判となるのが特徴である。

 イランで体制を批判する大規模なデモが起きると、イラン嫌いの米国や欧州諸国はこのようなデモを大きく取り上げるきらいがあるが、イランのイスラム革命体制が今にも倒れると思うのは早計であろう。なぜならば、イランのイスラム革命体制は、40年間かけて強固な支配体制を構築しており、特に1979年のイラン革命前の王政時代には、農村部の犠牲の上に都市部の繁栄があったが、革命後、イスラム革命体制は、農村の開発に力を入れた結果、元々、信心深く保守的な農村部の支持を確保していると思われるからである。

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