2024年7月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月30日

 また、リビアに関して、2010年に国連安保理で棄権をしたら、その決議がカダフィ政権の打倒につながり、4万人の中国人労働者が退去することになった。中国は、中東で大使館や軍事プレゼンスを拡大するかもしれないが、中国が中東への金融支援を見直す兆候はない。エジプトのモルシ大統領は、経済援助のため訪中したが、7千万ドルを得たに過ぎない。

 中国が地域の安定に貢献する可能性は少ない。新華社は、中東は米国のような超大国の支援を必要とするとしている。中国は、中東では、二次的役割にとどまるだろう。

 米国の同盟国である日韓の湾岸石油への依存に鑑み、米国は中東の安全保障を考えざるを得ず、今のところ中国は「タダ乗り」に満足している、と論じています。

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 上記は、シェンカーの中国での意見交換を報告したものです。中東の安定に中国は役割を果たそうとは未だ思っていない、米国に任せておけば良い、日韓との関係もあり、米国は手を引けないと考えている、と述べていますが、中国の対中東姿勢の描写として的を射ていると思われます。

 中国の中東政策は国内に多くのイスラム人口を抱えており、それゆえにロシアの対中東政策同様、困難な面があります。イスラム教徒を弾圧すれば、湾岸諸国も反発せざるを得なくなります。他方、国内安定のためにイスラム過激派や分離独立派は押さえ込まざるを得ません。そういう状況の中、湾岸での難しい問題は米国にやってもらう方が、中国にとって得策でしょう。その意味で、中国の姿勢は合理的ではあります。

 中国は、民族政策に関しては、旧ソ連以上に下手で、あるいは民族政策はないに等しいと考えられます。習近平の「中華民族の復興」を目指すとのスローガンは、国内のイスラム教徒やチベット人を無視しているように思われます。こういうやり方は、早晩行き詰るのではないでしょうか。

 中国が中東に進出することは、日本から見て歓迎できることではないので、中東で小さな役割しか果たさない中国で、日本が困ることは特にありません。

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