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BBC News

2022年11月17日

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ポーランド東部に着弾し死者2人を出したミサイルについて、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナによって発射されたとの見方を強める中、ウクライナは16日もロシアが発射したとの主張を続けた。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はBBCの取材で、ウクライナ国境に近いポーランドの村に15日に着弾したミサイルは「ウクライナの防空ミサイルの可能性がかなり高い」と述べた。

ただ、究極的に責めを負うのはウクライナ侵攻を続けているロシアだと、ストルテンベルグ氏は強調した。

NATOは集団安全保障体制をとる西側の軍事同盟で、ポーランドも加盟している。

同国のアンジェイ・ドゥダ大統領はこれまで、問題のミサイルはロシア製のS-300だった可能性が高いが、ロシア側によって発射された証拠はないと述べている。

一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はテレビ演説で、「これが私たちのミサイルでないことは疑いない」と主張。「私たちの軍の報告から、ロシアのミサイルだったと信じている」と述べた。

ゼレンスキー氏はまた、NATOなどによる調査にウクライナの参加が認められるのは不可欠だと訴えた。

今回のミサイルによる爆発は、ウクライナ国境から6キロのプシェヴォドフ村の農場で15日午後に発生した。この日、ロシアは2月24日の侵攻開始以降で最大規模とみられるミサイル攻撃を実施。ウクライナの防空システムが起動した。

ロシアはミサイル数十発を発射し、ウクライナはそのほとんどを撃墜したという。

NATO事務総長の説明

ストルテンベルグ氏はBBCの取材で、NATOがウクライナに「より高度な防空システム」の供給を約束したと話した。ウクライナは加盟国ではないが、NATOは同国に大規模な軍事支援をしている。

ストルテンベルグ氏は、ポーランドにミサイルが着弾したことについて、「今後、今回のような事態を防ぐには、ロシアが戦争をやめることが一番だ」と述べた。

同氏はまた、「ロシアからの意図的な攻撃だと示すものはない」と説明。一方で、「もしロシアが、この戦争で何度も行ってきたように、ウクライナ各地の都市に一連のミサイル攻撃を昨日、実施していなければ、今回の事態は起こらなかったはずだ。そのため、ロシアに責任があることは疑いない」と付け加えた。

ロシアとウクライナによる和平交渉の可能性については、これまでの試みから、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領には「妥協や交渉をする意志がない」ことが明らかになっていると、ストルテンベルグ氏は述べた。

「プーチンとロシアが戦いをやめれば平和になるが、ゼレンスキーとウクライナが戦いをやめればウクライナは独立した主権国家としての存在が終わる。そのことを、私たちは理解する必要がある」

米軍トップが「政治的解決」に言及

米軍の制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は16日、「ロシアが政治的に(ウクライナから)撤退するという政治的解決」があり得るとの見方を示した。

国防総省での記者会見でミリー氏は、ウクライナがこのところ反転攻勢に成功しているものの、同国が早期に軍事的に勝利する可能性は低いと警告。

「ウクライナ軍の勝利を、クリミアを含むウクライナ全土からロシア軍を追い出すことと定義した場合、近いうちに実現する確率は、軍事的に高くはない」と述べた。

<解説> NATOの亀裂が明らかに――ジェイムズ・ランデール外交担当編集委員

ポーランドに着弾したミサイルについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は「(欧州・大西洋)集団安全保障に対するロシアの攻撃」と非難。ドミトロ・クレバ外相も、ウクライナが発射したとするのは「陰謀論」だと述べた。どちらの主張にも、根拠はないとみられている。

このような発言は、一部の西側外交官の忍耐力を削り始めている。ウクライナ側の時に過激な言葉や要求が、西側同盟国の間の「ウクライナ疲れ」を悪化させるのではないかと、懸念されている。

ロシアと国境を接するバルト諸国は、素早くNATOの集団防衛を呼びかけた。リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領は、「NATO領土は1インチといえども守らなくてはならない!」とツイート。ラトヴィアのアルティス・パブリクス国防相は、NATOがポーランドと「ウクライナ領の一部」にさらなる防空を提供してはどうかと示唆した。エストニアのカヤ・カラス首相は、西側がウクライナへの軍事的、人道的、財政的支援を強化すべきだとした。

対照的に、アメリカなど西側諸国の初期の反応は、冷静さを求め、事実が明らかになるのを待つというものだった。

そこには、NATOの集団的な軍事対応を伴うようなエスカレーションは避けたいとの思いが明確だった。米政府関係者は、ミサイルはウクライナの防空システムによるものではないかといち早く指摘した。

戦争に間違いはつきものだ。今回の事態はそれを如実に示した。現在使われているミサイルシステムには古いものもある。ミサイル攻撃の規模を考えると、これまでこうしたことが起こらなかったのは驚くべきことかもしれない。

この24時間の出来事は、戦争の影響が再びNATO域内にもっと実質的なかたちで及んだ場合、NATOの対応は期待されているほど一致団結したものにはならないかもしれないと示唆している。

(英語記事 Poland probably hit by Ukrainian missile - NatoPoland missile strike reveals Nato divisions

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63657893

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