2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月23日

イスラム革命体制の巻き返しか

 今回のデモの規模は2019年より小さく、1979年のイラン革命の様に国家が麻痺する様な全国規模のストライキ等も起きていないようだ。現在の反政府デモは指導者を欠いているので、イスラム革命体制を擁護し全国津々浦々にネットワークを有する宗教界に対抗することはできない。

 また、徴兵制をとっていたシャーの国軍が民衆の暴動を鎮圧することを拒否したという経験から、国家ではなくイスラム革命に忠誠を誓う革命防衛隊が置かれている。なお、革命防衛隊がクーデターを起こし、軍事独裁国家を作るという懸念は以前から語られているが、革命防衛隊は自己の正統性のためにイスラム革命体制を必要としており、その可能性は低いと考えられる。

 10月26日にはイラン南部シラーズにあるシーア派のシャー・チェラーグ廟で「イスラム国」による銃撃事件が発生、15人が死亡した。「イスラム国」はスンニ派に属する。

 この事件は、国民に対して団結を呼びかける機会となり、今後、イスラム革命体制側が巻き返しに出ているのではないかと想像される。バヒディ内相は、抗議活動の拡大がシラーズでの銃撃事件の温床になったとの見解を示しており、10月31日には、デモ参加者1000人を起訴したと報じられている。

   
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