2024年7月15日(月)

Wedge REPORT

2013年6月6日

TNGAはトヨタ資料、CMFは日産資料をベースに熊谷敏直氏が製作したイラストをもとに作成
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 日産も13年中に発売する新車から新設計手法「コモンモジュールファミリー(CMF)」を導入する。今後発売する13車種をCMFでカバーしていく。日産からは車台という概念が消え、車体を「エンジン室内=2種類」「前部アンダーボディ=3種類」「コックピット(室内)=3種類」「後部アンダーボディ=3種類」の4つのモジュールに分ける。理論上は2×3×3×3=54種類のモジュールの組み合わせで車をつくれるようになる。各モジュール内で部品の共通化を推進する。

 基本構造はパソコンと同じようになってしまうが、「モジュール間の接続ルール(インターフェース)は公開しない点が大きく違うため、産業構造はパソコン化しない」(日産幹部)という。

 CMFを推進する結果、「これまでは1種類のシートフレームで8万~10万台しかカバーできていなかったのが、370万台程度にまで引き上がります。その結果、生産手法を変えなければ供給できなくなる可能性もあります」と坂本秀行常務は説明する。設計の共通化は進んでも、それを生産する下請け企業が1社ではとても量的に対応できなくなる事態が起こりうると日産は想定しているのである。その結果、部品メーカー同士の提携が世界規模で起こる可能性も否定できない。

戦々恐々の部品メーカー

 TNGAでも、自動車づくりで開発や生産、流通にいたるまで上流から下流をすべて見直すことで「バリューチェーン」全体の最適化を図る狙いがある。そして影響を大きく受けるのが系列下請け企業だ。部品やアーキテクチャーの共通化が進むことで、複数の車種でまとめての発注となるからだ。さらに、これまでは同じ部品であっても国・地域別に発注先が違っていたが、原則としてグローバル規模でまとめて発注する仕組みに変わる。

 たとえば、トヨタはコネクター類の単純部品でも「専用規格」を設定してトヨタ向けにカスタマイズした部品を系列から購入してきたが、設計を見直すことで汎用部品が使えるようにする。これにより、系列以外でもトヨタとの取引がしやすい環境ができる。すでにトヨタは変速機の材料は日本製でなければならないとされていた基準を変更し、求める仕様を満たせばよいといった形で海外製を購入できるようにしている。

 トヨタの加藤副社長自身が「かなりドラスティックなことをやろうとしています。日本のものづくりを守って行けるのかとの危惧もありますが、日本のものづくりが付加価値の高い方にシフトしていくための交通整理だと思って欲しい」と語る。


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