3月28日に発表した中期経営計画も目新しさはなく、株価はさえない。テレビなど不採算事業の構造改革に終始し、成長に向けての具体策は乏しい。名門復活への道は、早くも多難さを予感させる展開になりつつある。
パナソニックがプラズマテレビからの撤退を検討し始めたようだ。この10年、巨額の資金をつぎ込んだテレビ事業の縮小へカジを切ったのは津賀一宏社長の英断だ。
津賀社長は収益性にこだわり、売上高を追わないと明言する。3月28日に発表した中期経営計画(新中期計画と呼称、以下「新中計」)では、真っ先に事業部制の復活を掲げた。2000年以降、事業部制廃止や子会社の取り込みを行った中村邦夫(現相談役)−大坪文雄(現会長)体制の否定とも言える大改革だ。
膨大な投資をしたにもかかわらず成果が上がらない三洋電機の買収やグループ会社の本体への取り込みも見直される局面に来ている。自主責任経営という原点に回帰し、事業部制も復活する。だったら、いっそのことパナソニックを解体してしまってはどうだろうか。
噂される「独立」「売却」
「電工(旧松下電工、現エコソリューションズ社=ES社)はいずれ、MBO(経営陣による買収)でもするんじゃないか」。パナソニック社内で、笑い話のように語られている。住宅向けの電設資材や建材、照明などで圧倒的な国内シェアを誇り、堅実な収益を出してきたES社。
長く、パナソニック(松下電器産業)とは兄弟会社の関係で、祖業である配線器具を手掛けることから「当社こそ松下の源流」との気位を持っていた。しかし、子会社化、完全子会社化を経て、2012年1月に完全に吸収合併され、今では1ドメイン(4月から1カンパニー)の位置づけとなった。