2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月28日

 中国のサイバースパイの対象の広さと深刻な影響に鑑み、オバマ政権は中国政府に対し、執拗なサイバー窃盗を中止するようにとの警告を強めている。オバマは来月の米中首脳会談で、習近平にこの問題を提起するものと見られる、と述べています。

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 中国が、サイバースパイ活動によって、米国の最重要な最先端軍事技術を、全力を挙げて盗もうとしていることが、明らかにされています。これは、米国及び日本など米国の同盟国の安全保障にとって由々しき事態です。米国は、サイバー防衛を徹底するとともに、中国に対してサイバースパイを止めるよう、強力に働きかける必要があります。中国はこれまで、米国の政府機関や民間会社にサイバースパイをしたことはなく、中国こそが米国のサイバー攻撃の犠牲者であると言い張ってきましたが、ここまで次から次へと対米サイバー攻撃の実態が明らかにされると、いつまでも同じ言い訳では済まされなくなるでしょう。

 米中首脳会談では、この問題で、オバマは、空手で帰ってくるわけに行かず、習近平から何らかの反応を引き出す必要がありました。しかし、サイバー攻撃、サイバースパイの問題は取り上げられたものの、習近平に、中国こそ犠牲者であるとの従来の主張を繰り返すことを許してしまった一方で、米側からは不十分な対応しかできませんでした。この一点だけを見ても、今回の米中首脳会談には、辛い点数を付けざるを得ません。

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