景気の先行きを示す購買担当者指数(PMI)だが、昨年は6月と7月だけが好景気(50以上)で、残る10カ月はすべて悲観的だった。特に上海ロックダウンが起きた4月、全国的に感染が拡大した12月はきわめて深刻な状況にあったことがわかる。
それが今年に入って一転した。1月、2月ともに50を大きく超えて上昇している。世界経済の不振と米中対立の影響から今後の輸出低迷が不安視されているものの、昨年最大の課題とされていた不動産問題はデベロッパーへの資金供給に目途が立ち、また住宅ローン条件の緩和などの販売促進策が打ち出されたこともあって、悲観論は和らぎつつある。
23年の経済成長率目標は「5%前後」と従来よりも低く設定されたものの、経済の先行きを悲観したというよりも、バブルを避けるためにあえて慎重な数字を設定したと見るべきだろう。地方政府はより野心的な目標を掲げていることもあり、目標を大きく上回ることは間違いないと見られる。
政府活動報告で語られなかった〝危機〟
政府活動報告ではうまくいった話が中心だが、一応、問題点とリスクもあげられている。やや長いが、該当部分を引用しよう。面倒な人は読み飛ばしていただいてかまわない。
(日本語訳は中央党史和文献研究院)
あれもこれもと、問題点が書き連ねられているが、ほとんどは前年の政府活動報告と同内容である。新たに盛り込まれたのは「不動産市場のリスク」と「防災インフラの脆弱性」ぐらいだろうか。毎年毎年、困ったものだと言い続けているものであるがゆえに、あまり切迫した課題とはとらえがたい。
むしろ本当の「危機」は書かれていないところに存在する。
筆者は、今年の政府活動報告でもっとも注目すべき点は「都市部新規雇用目標1200万人前後」だと見ている。昨年の「1100万人以上」からざっと100万人の増加だ。経済成長目標は低く抑えたが、雇用の目標はかなり野心的である。
それはなぜか?