2024年12月22日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年3月1日

 販売台数はマイナス49.9%(前月比)。

 中国自動車工業協会は2月10日、2023年1月期の自動車産業概況を発表した。目を引いたのが新エネルギー車(NEV。電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池車を含む中国独自のカテゴリー)の販売急落だ。前月のほぼ半分となる40万8000台にとどまった。

中国におけるEV販売の今後はさまざまな見方が分かれている(ロイター/アフロ)

 中国は世界最大のEV(電気自動車)市場である。22年のNEV販売台数は前年比93.4%増の688万7000台。中国一国で世界シェアの50%超を擁している。右肩上がりの成長を続けてきた中国EV市場が突如としてマイナス成長に転じた、その理由をめぐっていくつかの見方が並立している。

短期かそれとも長期的な要因か

 一つには中国のコロナ政策の転換があるとの見立てだ。昨年12月上旬にゼロコロナ対策を一気に転換、そこから1カ月ほど国民の大多数が感染するほどの爆発的な感染拡大を見せた。大事にはいたらなくても熱を出して寝込んでいる人が多数いる状況では販売業務を続けることは難しい。

 また、1月21日からが旧正月の法定休日だが、前倒しで休みに入った販売店も多かったという。すなわち、コロナ対策の転換という一時的なショックに過ぎず、2月以降は成長軌道に回帰するとの解釈だ。

 もう一つはEV不振がより長期的な問題だとの見立てだ。

 中国では2010年からEV購入に補助金が支給されてきた。その総額は1500億元(約3兆円)を超える。巨額の補助金は市場を歪ませるものとの批判もあった。

 また16年には補助金詐欺が発覚した。バッテリーを積んでいないEV、つまり走ることのできないタダのガラクタを販売台数にカウントするなどの悪質な手段まであった。不正に支給された補助金は92億7000万元(約1800億円)以上に達したという。


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