2024年7月14日(日)

田部康喜のTV読本

2023年2月22日

 NHKスペシャル・混迷の世紀シリーズ「“貿易立国”日本の苦闘~グローバリゼーションはどこへ~」(2月12日)は、米中の「新冷戦」とロシアのウクライナ侵攻などによって、グローバリゼーションが揺らぐ中で、“貿易立国”日本のこれからの針路を探るドキュメンタリーである。

(AvigatorPhotographer/gettyimages)

 総合電機メーカーの三菱電機を企業研究のテーマに絞った。それと同時にキャスターの河野憲治氏が、歴史家のニーアル・ファーガソン氏や元欧州連合(EU)委員長のジョゼ・マヌエル・バローゾ氏らに直接インタビューした。このようにして、多層的に現在のグローバリゼーションを分析した力作である。

米中対立の狭間にいる日本企業

 ひとつの企業を徹底的に分析することによって、全体像に迫るフィールドワークは経済・経営研究の王道である。“貿易立国”日本の苦闘が、三菱電機から透けて見える。

 三菱電機・経済安全保障統括室の伊藤隆室長は、世界地図を背景にして、「核使用」のリスク、米中対決などのリスクに基づいて次のように語る。

 「ハイテクの製品だけではなくて、ローテクの製品であったとしても突然、供給途絶ということが起きる可能性がある」

 漆間啓社長の認識はこうだ。

 「グローバリゼーションをやっていれば、事業価値が増えていったという世界がもうなくなろうとしている。今までのグローバリゼーションに代わるグローバリゼーション――これを考えていく必要がある」

 三菱電機が米中対立によって、直面しているサプライチェーンの問題は深刻である。それは日本の製造業の大中小にかかわらない。

 米国は昨年10月に「国家安全保障戦略」を発表した。このなかで、中国を次のように位置づけている。

 「中国は国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競合国」「軍事、科学技術の総合的な抑止力を構築する」としている。具体的な分野として6つをあげ、そのなかには「半導体」「蓄電池」「重要鉱物(レア・アース)」「医薬品」がある。

 米国政府は中国とこれらの商品を取引する企業をリストアップして、仮に取引があった場合には制裁金を課すとしている。


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