2024年4月21日(日)

教養としての中東情勢

2023年5月15日

 激戦となったトルコ大統領選(5月14日)は現職のエルドアン大統領、野党統一候補のクルチダルオール氏とも有効投票の過半数を獲得できず、28日に決選投票が実施される見通しとなった。その結果はウクライナ戦争や国際情勢にも大きな影響を与えるのは必至。エルドアン氏が敗北した場合、トランプ米前大統領と同じように、大統領の座にしがみつくとの懸念が出ている。

決選投票となる見通しのトルコ大統領選挙。現職のエルドアン氏(右)は大統領の座にしがみつくのか(ロイター/アフロ)

経済低迷が苦戦の要因

 トルコ政府系のアナトリア通信によると、開票率98%段階で、エルドアン大統領の得票率が49.3%、クルチダルオール氏が45%だと伝えた。エルドアン大統領は「圧倒的にリードしており、勝利する」と自信を示したが、野党側の集計では接戦としており、双方の主張に隔たりがある。クルチダルオール氏は投票所で大々的な不正行為があったと非難した。

 いずれにせよ、過半数を獲得した候補は出ず、決戦投票にもつれ込むことがほぼ確定した。今回の選挙はエルドアン氏が牛耳ってきた20年にわたる政治に対する「信任投票」の色彩が濃い。

 貧しい家庭の出身だったエルドアン氏は1994年、同国最大の都市であるイスタンブール市長に当選。禁じられていたイスラム的な発言によって一時投獄されるが、2001年に現在の与党「公正発展党」を創設、翌年の総選挙で勝ち、首相に就任した。

 首相として11年務めた後、今度は大統領に就任。その間、公共事業など大型の建設プロジェクトを次々に打ち出し、20カ国・地域(G20)の一員になるまでの経済成長を実現した。国内総生産(GDP)は3倍に増えた。同氏はその一方で、世俗主義の同国でイスラム化を推進、女性のスカーフ着用禁止を撤回させた。

 転機は16年のクーデター未遂事件だった。エルドアン氏は事件に関与したと見られる軍部や政府の5万人を拘束、公務員ら15万人を公職追放した。同氏は強権政治にまい進、実権型の大統領制を導入するなど独裁色を強め、側近や身内を登用するネポティズム(縁故主義)が目立つようになった。


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